■□NOVEL□■
□白妙菊
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白妙菊
人の行動心理とは実に不可解だ。
手近なところに居る彼奴を暫く観察してみた結果……非常に興味深いのではないかと思う。
人付き合いが苦手という点さえ除けば、決して頭も悪くない、団内でも有能な人材といえるだろう。
なのに何故あの様な行動をとるのか?
「シンタローはぁん!」
「眼魔砲!」
「シンタローはん、いきなり何しますのん!書類が燃えたらどうしはるん?わてでなかったら大事どすぇ!」
また今日も始まったか…。
彼奴は普段、大抵の攻撃を急所を外して受けている。…が、流石に書類を抱えた状態ではかわすらしい。
しかし、食らい馴れているとはいえ、タメなしの眼魔砲をかわせる辺り、やはり実力者であると頷ける。
「チッ、かわしやがったか……。用事もねぇのに来てんじゃねぇよ。」
「用ならありますぇ!
シンタローはんの為に、徹夜で仕上げた、シンタローはんの書類を、持って来たんどす。」
「イチイチ区切るな、ウザイ。用が済んだなら、さっさと出ていけ。」
「酷!わて、シンタローはんの代わりに目ぇ通して、サインするだけにしたんどすぇ?」
「……うっせぇな。」
同感だ。実に喧しい。
やはり、彼奴は何を考えているのか解りかねる。
シンタローに絡んでは邪険にされることが常で、眼魔砲を食らうことも少なくない。
「……ハァ。んじゃ、此れ。褒美がわりに行ってこい。」
「褒美って任務は褒美やありまへんぇ……って、今遠征言うと、もしかして…」
「勿論、D地区。行ってくれんだろ、心友?」
「うっ……」
「出発は17時。遅れんなよ」
「…………シ、シンタローはんのいけず〜!!」
今回は激戦区の遠征か。
心友だのなんだの言ってもそうは見えない。シンタローの口からその言葉が発せられる時は、決まって何かを押し付けられている。
団内でも有数の頭脳を持っている筈なのに……。
やはり人の行動心理とは理解に苦しむ。
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