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□砂時計 1話
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数年前には考えられなかった相手、甘いケーキに甘めの珈琲、綺麗な和菓子とおたべが並んだ和洋なテーブル


「シンちゃんもキンちゃんも一緒に居たらいいのに。」

「二人とも忙しいんやから、わてで堪忍したっておくれやす。」



あの島から帰ってきてからは、アラシヤマも参加してくれるお茶会。
最近は和菓子なんかも作ってくれるようになった。




砂時計  1 - 1




高松が出掛けてる間、ずっと、手が離せない仕事があるって言ってた筈なのに……



「グンマ、お茶会は即刻中止だ!!」

「なんですのん?」



ガチャン

突然のやって来たキンちゃんは、二度繰り返すより先に机を引っくり返した。




「キンちゃん!」

「…な、何してくれはるんやキンタロー!わてに何ぞ恨みでもありますのん!?」

「恨みなどはない、俺はお前達が珈琲を飲んでいるのではと思ってだな。いいか、俺はただお前達に珈琲を飲ませまいと思って…」

「二度言わんでええわ!!」


キンちゃんは釈明をしつつも、珈琲を見事に被ったアラシヤマには一切目もくれず、酷く慌てた様子で落ちた食器を調べてる……て、




「……もしかして珈琲、飲んじゃ駄目だった?」

「あぁ、もう飲んでしまったのか?」

「ううん。最初のはこぼしちゃったから今入れ直したとこ?」

「……ハァ。いったい何がありましたんや?そっちの説明もしてもらわなわかりまへんえ?」




心なしかキンちゃんの緊張が解れたみたい。アラシヤマも慣れた手付きで後片付けをしてくれてる。




「グンマ、お前は珈琲には必ずグラニュー糖を入れるだろう?そして、俺が持っているのがグラニュー糖だ。」

「やだなぁキンちゃんったら、グラニュー糖なら此処に…あれ?瓶入れ替えたんだっけ?」




キンちゃんの持ってるのは新しく入れ替えたグラニュー糖の小瓶。

僕がグラニュー糖だと思ってた物は下に落ちてる。(半分中身は出てるけどね)




「お前が誤って持っていった小瓶には現在研究中の薬品が入っていたんだ。まだ試験もしていない未完成の薬だ。」

「もしかして、手の離せない仕事って此れ?」

「そうだ。先程俺の所に寄った際にすり替わったのだろう。高松から預かった資料を読んでいた為判明するまで多少時間を要した。……とはいえ、飲んでいないのなら問題はない。」

「……ドクターの薬、どすか?」

「あぁ、高松と共同研究中の新薬だが?」

「その新薬、いったいどんな薬ですのん?」

「何か問題でもあるのか?」

「おおありどす。」




心なしか、アラシヤマがいつも以上に青白い顔して人魂背負ってる気がする。さっきまで楽しくお茶会してたのに……。




「まさか……珈琲を淹れたのは」

「……へぇ、グンマはんどす。えろぅ粉っぽい思いましたゎ。」




何で二人ともこっち見てるのさ。僕が淹れたらいけないの?



「何杯淹れた?」

「?何の事?」

「アラシヤマのカップには何杯入れたんだ!」

「あぁ、珈琲の事。アラシヤマはおかわりも含めて二杯目だよ?」

「珈琲やのうてグラニュー糖もとい薬の話どす。」

「グラニュー糖だったら勿論、甘さ控え目に五杯!だよ。……あっ!!」



そっか。
グラニュー糖じゃなくて高松の薬入れちゃったんだっけ。

僕は飲んでないけど、アラシヤマに飲ませちゃったんだ……道理でアラシヤマが悄気てる訳だよね。

何だか悪い事しちゃったかも。




「……最悪だ。」



アラシヤマが高松の実験体にされるなんて珍しい事じゃないのに、なんでキンちゃんまで落ち込んでるのかな?




to be continue...

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2010/07/02〜2010/07/07の間
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