■□NOVEL□■

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頼まれたはいいが、タグを持っている事を祈るしかない。

もし持っていなかったら、この広い団内をしらみ潰ししなければなるまい。それでも、彼奴が声を潜め隠れたりしたら判らないだろうが…。



目当ての物は以外と簡単に見付かった。



「確か彼奴の部署は覗いたと言ったな…」



総帥室に戻る前に一度、アラシヤマの部屋を訪ねてみる事にする。
態々タグ用のGPSを使わなくとも、アレを捜し出せれば問題はないだろう。



「…やはり居ないか。」



ノックや声掛けには応答がなかった。

彼奴が居留守を使っている可能性も考えられたが、『彼奴らが大変』と内容を濁らせたまま(他者に聞かれても平気な様に)話し掛けたが返事が無いと言う事は、恐らく本当に留守なのだろう。



「無駄足だったか。」



今日は厄日か…。

総帥室まで戻るにもエレベーターが動かない。1つは調整中の札が下がっており、1つは地下から上がってこない。



「やはり、彼奴の部屋に寄らず、地下から直行すべきだったか…。」



総帥室は最上階、此処とはフロア数としては10にも満たないが多少なりとも重量のある装置を持ったまま行きたいとは思わない。



「…仕方ないか。」



ピクリとも動かないエレベーターに文句を言う訳にもいかず登ることにした。




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