けいおん
□魔法言葉
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「りっちゃんと澪ちゃんって正反対だよね。」
昔からいろんな人に言われる。
それは友達だけでなく、互いの家族からも。
外見も性格も律と私は真逆なのかもしれない。
でも、だから一緒にいれるんだと思う。
一緒にいたいんだと思う。
私に足りないものを律が埋めてくれる。
出会った時からずっと、臆病な私の手を握って引っ張ってくれる。
初めはそんな律が苦手だった。
私の意見など無視して、強引に引っ張り回して、怖かった。
でも、それは律なりの思いやりなんだって、年を重ねる度に知った。
律の強引さが無かったら、私は引きこもったままだったに違いない。
律の側は、今の私には本当に安らげる場所なんだ。
私は律がいてくれて良かったって思うし、律にいてほしいって思うけど、律はどうなんだろ?
私は律に何をしてあげれてるんだろ?
「なんで、田井中先輩といるんですか?」
目の前にいる一年生の言葉で意識を取り戻した。
「な、なんでって…」
「澪先輩はすごい人なんですから、もっと相応しい人がいると思います。」
一年生はそれだけ言って、去っていった。