けいおん

□魔法言葉
1ページ/5ページ

「りっちゃんと澪ちゃんって正反対だよね。」

昔からいろんな人に言われる。

それは友達だけでなく、互いの家族からも。

外見も性格も律と私は真逆なのかもしれない。

でも、だから一緒にいれるんだと思う。

一緒にいたいんだと思う。

私に足りないものを律が埋めてくれる。

出会った時からずっと、臆病な私の手を握って引っ張ってくれる。

初めはそんな律が苦手だった。

私の意見など無視して、強引に引っ張り回して、怖かった。

でも、それは律なりの思いやりなんだって、年を重ねる度に知った。

律の強引さが無かったら、私は引きこもったままだったに違いない。

律の側は、今の私には本当に安らげる場所なんだ。

私は律がいてくれて良かったって思うし、律にいてほしいって思うけど、律はどうなんだろ?

私は律に何をしてあげれてるんだろ?

「なんで、田井中先輩といるんですか?」

目の前にいる一年生の言葉で意識を取り戻した。

「な、なんでって…」

「澪先輩はすごい人なんですから、もっと相応しい人がいると思います。」

一年生はそれだけ言って、去っていった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ