けいおん
□気まぐれかもしれない
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いや、実際気まぐれだったんだ。
私はあいつに魅せられた一人に過ぎないんだ。
「律?」
「ふぇ!?な、何?」
「…今日、律の家に行っていいか?」
「珍しいな、どうかしたのか?」
「ちょっとな…。」
「ふ〜ん。」
澪が話さなくなったから、私も黙って歩き続けた。
最近、澪との距離がわからなくなった。
和と仲良くなって勉強の話や幼なじみの話をして、ムギと梓と仲良くなって音楽の話をして、唯と仲良くなって趣味や日常の話をする。
そうすれば、私は何を澪と話したらいいんだ?
今まで、澪とどう接してきたんだっけ?
「先に、部屋行っといてくれ。なんか飲み物取ってくるよ。」
「わかった。」
聡もまだ帰っていないみたいで、家は静かだった。
ジュースをコップに入れて二階の自分の部屋に入ると、澪がベッドにもたれるように座っていた。
「おまたせ〜。…って、何見てんだ?」
「小学校の卒業アルバム。」
「ふぇ〜…。」
「懐かしいよな。」
「そうだな…。」
澪がアルバムのページをめくる音だけが聞こえる。