けいおん

□気まぐれかもしれない
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「私はその子に惹かれた1人にしか過ぎなくて、ただの友達で、もしかしたら友達でもないかもしれないって思ったんだ。」

「律…。」

「私がいなくてもいても一緒なんだって。」

「律。」

知らない間に澪が横に来ていて、抱きしめられた。

「律は、特別だ。私が今まで会った中で家族と同じくらい特別で大切なんだ。」

「プッ。」

「な、なんだよ。」

「いや、特別って言ったら1人だろ。」

「い、いいだろ別に。」

そう言うところは、澪らしいと思う。

「り、律はさ…」

「ん?」

「わ、私のことどう思ってる?」

「なんで?」

澪からそんな質問がくるとは思っていなかった。

「私も…、不安なんだと思う。律は、いっぱい友達がいて、どんな子に対しても明るくて、優しくて…。だから…。」

澪の言いたいことが分かった気がする。

自惚れかもしれないけど、私と一緒の不安を澪も感じていてくるたのかもしれない。

「澪はさ、」

少し距離はあるけど手は届く。

澪の手を握って顔を見た。

「特別だ。」

作り笑いじゃない。

自然に顔が緩む。

澪に話しかけたのは、気まぐれかもしれない。

けど、気まぐれもいいもんで、私がこんな性格で、私で良かったって思う。

今握っている澪の手を、まだしばらく握っていきたい。


〜fin〜
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