エゴイストの心臓

□やっつ
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閉め切っていた障子をからりと開く。
冷えた朝方の空気が肌を刺す。
冷気は染む様に、針山の針や織り掛けの絹に温度を移した。

私というこの屋敷の主を表す龍を模した欄干に手をかけて、眼下の山を見下ろす。


井筒の時間は長過ぎた。私はずいぶん待たされた。
うつたの黒はすぐ目覚めるだろう。そして私はすぐに眠るだろう。

それでもまだ今は、私の独擅場。

呼吸一つ、
『私』の息吹。

色づいていく山達。


「ああ、」

「秋だ。」

おはよう、私の季節。

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