エゴイストの心臓
□よっつ
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美しいものなんてありはしないンですよゥ。
この世界は何処までも淀んでいるンです。
何方かが云ったのか知りませんけれど、世界が美しいだなんてとんだ嘘。
とんでもないデタラメなんですよゥ。
だってほら、よく聞きますぜ。大人はずるいンだってね。
人間は汚いんですよゥ、その人間の世界で暮らしてンです、美しいわきゃあないンです。
だからと云って。
醜いものだってありはしないンですよゥ。
全ては表裏一体。
生まれ始めッからの属性なんてこの世にございません。それは各自が勝手に決めたことで。
世界が美しいのも、醜いのも。結局は自分が他人とどう向き合えるかですよゥ。
そうスケールのでかい話じゃない。
(…そも「人間は汚い」?
御自分は何様で?でしたら畜生にでもなりますかねェ?
「大人はずるい」?
「大人」が決めた「子ども」というであることを笠に着てどの口がぬけぬけと?
自分だきゃあ安全圏、考えることもなく誰かの手の内で、大勢の総意にうなずくわけですかい。
お疲れ様でさァねェ?)
…全て、ええ全て。
美醜の差異なんて、今時は定型句主義者(ロマンティスト)か逃避主義者(ペシミスト)の違いだけなんですよゥ。
「それで?」
…それで?
「全ての線引きが何の意味ももたらさないことなど生きていれば自ずとわかること。
つくづくお前の妄言には夢がない、」
「仕方がないでしょゥよ、此処こそが夢なンだもの。」
つまり全ては戯言だ、
何の意味もありゃァしない。