『なんなら私が相談に乗ってあげよっかー?』
そう言いながら貯水タンクから下(俺)を覗き込むような形で寝そべっていた彼女は立ち上がった。
「…………白か」
『ΣΣばっ!ドコ見ってんだよっ!!』
がばりとスカートを隠しながら給水タンクから飛び降りて綺麗に着地をする(凄い運動神経じゃ)。
『…で、見るからにモテそうな君が恋愛で悩み、ですかー』
顎に手を当て、ほうほう…、と相槌を打ちながら歩み寄ってきた。
「別に恋愛なんかじゃなか」
柄にもなく怪訝な顔を表にしながら彼女との距離を保つ。
「(なんで俺の悩みがわかった、こいつ…)」
一切表情に出していないのに、なぜこの女…初めて会ったにも関わらず判るのだろうか(幸村や参謀にすらバレとらんのに)。
『わかるよ、私には』
笑った。
彼女は笑った。
その笑顔は…笑顔とは裏腹に、まるで泣いているかのような哀しみを帯びていて。
俺の心臓が…いや、ココロが。
ぎゅっとなって切なくなった。
「………」
『あなたの恋、私が叶えてあげましょう』
二時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。