The hand ties.

□第六章
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闇雲さんの愛車のワゴンまで戻ると、皆が車に乗り込む。
旱さんは、気絶している久那ちゃんを寝かせ、救急箱を取り出した。
「応急処置ってやつ」
旱さんはそう言って、久那ちゃんの服の右袖をまくった。右腕には、無数の傷跡。
「なっ?!」
僕は驚いた。
まるで、何度も傷をつけた跡があるのだから。
「なんで、わかったんですか?旱さん」
旱さんは、「ああ」といいながら、救急箱から消毒液を取り出した。
「お姫様をおんぶした時に、血の匂いがしたからな」
「そういうのだけは、鋭いよな。旱は」
闇雲さんは、嫌みのように言った。
「(^ω^#)」
あ、旱さん。怒ってる。
「「でもさー」」
双子は、横から割り込むように、旱さんに聞く。
「血が出てるんだったら」「普通、血ぃ止めないの?」
そう言われて、僕も気づく。ああ、そういえば真新しい傷もあるのに。
「あー、なんだか止血してるみたいでな?」
旱さんは、頭にクエスチョンマークをつけながら言った。
消毒で使った布を、ごみ箱に入れる。
そして、包帯を巻いていく。
「完了☆」
といって、旱さんは右腕の包帯を巻き終えた。
「人の嫌みを言うよりも、まず車を出せよ」
旱さんは、そう言いながら、闇雲さんが座っている運転席を後ろから蹴る。
「ちょっ!やめろ!蹴るな!」
闇雲さんは怒るが、旱さんは笑ってる。
なんだ、この光景。

そして、闇雲さんはエンジンをかけた。



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