The hand ties.

□第五章
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部屋は暗く、入って来た彼の顔は確認しにくい。
それでも私は、口を開く。
「いつき・・・くん?」
彼は、少し驚いた。
きっと、気づいていたけれど、不安もあり、聞かなかったのだろう。
「ひさなちゃん?」
涙が溢れた。
そして、私は彼に抱きついた。

安心しすぎて、声を上げて泣いた。
涙が止まらない。
それでも、いつきくんは「大丈夫だよ」と何回も繰り返し言った。



「ひさなちゃん、行こう」
いつきくんは、そう言って、私の手をとった。

そして、部屋をあとにした。



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