The hand ties.

□第十章
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不知火さんに治療されたところが、ヒリヒリと痛む。
あんなに消毒液をかけなくても・・・。
私はそう思いながら、傷を摩った。

あの後、壱葵君はどこかへ行ってしまうし、私は一人だし・・・。
どうしよう・・・?
そんな事を思った時、玄関が開く音が聞こえた。
来た人は、実技試験に来ていた蒼い髪の女の人だった。
「あ、今良いかな?」
「え、・・・あ、はい」
「いきなりだけど、この服に着替えてもらえるかな?」
彼女が手渡してきたのは、白のフリルがついた黒のワンピース。
本当にいきなり・・・。
「肌寒いだろうから、これもね」
次に手渡してきたのは、フード付き長袖の灰色パーカー。
「あぁ、はい」
「それじゃ、私は玄関の方にいるから、着替えたら来てね」
それだけ言って、彼女は部屋を出た。

「・・・」
着替えれば、・・・良いんだよね・・・?


一通り着替え終えた所で、さっきの彼女は「もう良い?」と玄関の方から声をかけてきた。
私は「はい」と言って、玄関先に向かった。

「お!似合ってる似合ってる!」
彼女はそう言いながら頷いた。

「それじゃあ、行こうか」
と言い、彼女は玄関へ向かった。
私も彼女の後ろをついていく様に、玄関へ向かった。



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