The hand ties.

□第九章
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「それではそれでは!実技試験を始めさせていただきまーす!」

市街を一通り見回せる双葉ハイツの屋上で、今、黒神 久那の実技試験が始まろうとしていた。

手摺り辺りには、さっきの五十嵐さんや闇雲さんがいる。それと、ゆうき君も。
後は、屋上の出入口付近に黒に近い蒼色の髪の二人。
黒神 久那こと私は、屋上の中心部分に立っていた。
実技試験の相手は、双子の片割れ、なおきちゃん。
手が使えないように、ベルトで巻かれている。拘束着みたいな・・・?
「五十嵐さん、なおきちゃんの両手が使えなくても良いんですか?」
そんな事を、私は質問した。
すると、五十嵐さんは言った。
「なおちゃんには、両手使わせない方が良いんだよ。そうでないと、骨の二、三本折られちゃうからね」
「そう・・・ですか・・・」
骨の二、三本持ってかれるよりはマシか・・・。
「良いんだよ、久那姉ちゃん!!痛くないし!!」
なおきちゃんは、笑顔で応えた。

「二人とも!準備は良い?」
そう大声で聞いたのは、ゆうき君だった。
「僕は良いよ!ゆう!!」
「・・・はい」
私は元気なく応える。
「今から5分間、久姉ちゃんはなおの攻撃を交わして下さい!
なおは、久姉ちゃんに怪我をさせないようにね!」
「りょうかい!」

少し深呼吸して、ゆうき君は言った。
「それでは、」









「始めっ!!」
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