The hand ties.

□第六章
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僕は久那ちゃんを庇うように、目をつぶって抱きしめた。




だが、鉄パイプは振り下ろされはしなかった。
寸前のところで、ヵキンッ!という音がした。
僕は目を開け、その音の正体を確かめた。
黒髪のポニーテールの女性が、トンファーを片手に鉄パイプを受け止めていたのだ。
ああ、旱さんだ。
そう思った瞬間、木の上から、なおきとゆうきが、鉄パイプを持った男性に襲い掛かる。
というか、二人で膝蹴りを顔面にクリーンヒットさせた。
「っが?!」っと少し呻いて、男性は倒れた。

旱さんは優しく、僕と久那ちゃんに聞いてきた。
「お二方、怪我はございませんか?」
悪ふざけが多いな。この人は。
僕は久那ちゃんを見る。
安心しきって、気絶してしまったようだ。
ああ、良かった。
「その嬢ちゃんは、私がおぶって行くから、いっくんは歩きな」
旱さんに、そんな事を言われ、僕は久那ちゃんを預けた。
「いー兄、平気?」「平気?大丈夫?」
双子は、心配しながらいう。
「心配かけて、ごめんな」
僕がそう言うと、二人は声を合わせて、「「良かった!」」と言った。
「皆さん、早く闇雲さんのところへ!」
結弥さんにそう言われ、僕は、旱さんの後ろからついて行った。




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