The hand ties.

□第十章
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一階。
扉に『101』と書かれた部屋の前まで来ると、騒いでいる様な声が廊下まで聞こえた。
蒼い髪の彼女は、扉を開け、『私(久那)も入って』とでも言うように手招きをした。
部屋に入ると、廊下で聞いた声はよりいっそう、うるささを増した。
先に歩く彼女は、うるさい方へと進む。
すると、彼女は立ち止まり、それまで見えていなかった部屋の様子を見せた。
テーブルの上には、美味しそうな食事。
うるさく騒ぐ人達。今日出会った人達もいる。
ちらっと、私の方を見た蒼い髪の彼女は、いきなり手を叩き、皆の意識をこちらに向けて言う。
「皆さん!本日の主役を連れて来ましたよ!」

・・・しゅやく?

「・・・え?」
『どういうことですか?』と、彼女に言おうとすると、
「久那姉ちゃんだ!」「可愛い!!」
そう言ってきたのは、双子のなおきちゃんとゆうき君。
二人とも元気に私の方へ向かって来た。
「立ってないで」「座って!」
そう言うと二人は私の手をとり、テーブルの前に座らした。

「えぇな、可愛さが増したやん」と不知火さんは言い、
「うふふ、似合ってますよ」と百済さんは笑顔で答える。
「うわぁ、似合ってる!可愛い!!」五十嵐さんは、カメラで私を撮りつつそう言った。

・・・恥ずかしい・・・。

闇雲さんと蒼い髪の男性は、五十嵐さんに向けて言う。
「おい!旱やめろ!!」
「久那さんが恥ずかしがってますから!!」
それを聞いた五十嵐さんは「ちぇー」とか言いながら、カメラの画像を見ていた。

賑やかな人達だなぁ。
こういう所で壱葵君は成長したのかな・・・。

「あ」

そういえば、その壱葵君がいないじゃ無いか。
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