無題
□第九話 「未完成な私と完璧な貴方」
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「愛されたいなら愛せばいい。僕はこの世界より君が大切だ」
貴方は、こんなにも一途な人間を見たことはありますか?
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「・・・・手紙・・・来ていないのね・・」
か細い声が響く
立ちすくむ美しい少女
これからどうスイたちにかかわっていくのやら。
―――――――生徒会室ーーーーーーーー―
「・・・・この人が・・教師・・・?」
水時スイは素直に驚いた反応をする。
だって探していた存在がここまで同じ学校に集まっているとなんだか必死になってさがしていた自分は何だ、という気持ちになる。
それに
「・・この人・・アイの友達なのか・・・・ほんとに?」
信じられない。
こんな変人と付き合える友人なんて。
「・・・スイ君が失礼すぎて泣きそうなんだけど」
「泣け。泣いてしまえ」
「・・・ヒドイ」
スイの態度がいつも以上に会いにきつくなってきたところでギンはすこしソファーで眠っている青年、静和ジンに近寄る。
「・・傷が・・そんなに深くないんですけど血が少し多く出てきて・・・貧血気味だったんですかね・・・なんか・・」
ギンはきれいな寝顔のジンの目元を触ってみる。
「(まつ毛長く女の人見たい・・・でもが体位はいい・・でも細い・・)」
ギンは冷静にジンを分析する。
脅えてはいるけど。
傍で話していたスイとアイ、エムも素直に体を心配しているんだろうという事で何も言わない。
アイも少し心配のようだ。
「・・・この人・・すごく優しい人ですね」
ギンがそうつぶやいた瞬間だった。
「・・・・っ!」
目を覚ました。
ジンは前触れなく目をさまし固まる。
「・・・!!気が付きましたか・・!?」
ギンはすごく焦った表情でジンに顔を近づける。
瞬間におきたことでアイもスイもエムも少しおどろいた表情で固まっている。
アイはあんしたような表情も見せる。
「・・・俺・・大丈夫・・です」
ギンに言い寄られたジンはすこし状況がつかめないのか当たりを見ながらギンをみずに言葉を返した。
そして唐突に状況を理解したのかアイがいることにも気づき目の前の泣きそうな少女と目を合わせる。
「・・・え・・」
「・・よかったあああああうああああああああああ・・・」
ギンはジンが目を合わせたことによって安心したのか、先ほど零した涙をもう一度こぼす。
ジンは状況がつかめないのか焦る。
「え、あ、え・・な、んで泣いてるんだよ・・・って言うかあんたさっきの人で・・」
目の前の少女がなんで泣いてるのかわからない。
でも女子が泣くのには男子的には非常に困る状況。
女子の扱いに慣れていないジンはとりあえず優しい言葉をかける。
「な、なんで泣いてるかわからんけど・・泣くなよ・・な?」
「・・ああああああああああああ・・」
ジンはギンの肩に手をのせ下を向いているギンの顔を上にあげさせようと前髪をそっと上にあげる。
まるで年下の子供を扱うような手つきのジン。
そしてギンはその優しい手に暖かさを感じてジンの顔を見ようと上を見上げる。
そして二人の視線がぶつかる。
「・・・・わ・・」
「・・・・・」
ジンは思わず声をだした。
耳まで赤くなる。無意識に。
ギンも無意識だったのだろう。
優しく微笑んでいた。
ジンの大きな優しい手に無意識に安心感を覚え笑っていた。
前髪をジンがあげたままなので表情がよりはっきり見える。
ギンの父親でさえここまではっきりギンの顔を見たことはないかもしれない。
「・・・・」
「・・・あああああああああの・・助けてくださって、ほんとにありがとうござました」
「・・え、あ、えっ・・?」
固まっていたジンは我に返る。
正直見惚れていた。
「・・・あの、私が周りをよく見ていなかったから・・・初対面の貴方に怪我を・・」
「え、あ、あんたは!!」
「・・・?」
「あんたは、怪我してないよな・・?」
ジンは心底心配そうな顔をしている。
どうやらギンの言葉から自分が何をしたのか思い出したようだ。
ボーっとしていた頭もようやく覚醒してくる。
傷があったはずの背中も全くと言っていいほど傷まない。
でも今はそんなことどうでもいい。
自分はこの少女を守れたのか。
それが気になる。
「・・・けが・・・無い?」
無意識にやさしい口調になる。
「・・・・ないです。あなたが守ってくれましたよ。ホントにありがとうございます」
感謝の意味で微笑むギン。
ジンは不意に耳まで赤くなってしまう。
「あ、んたが無事なら俺は別に・・」
「そんなそんなそんなそんなそんなそんなそんなそんなそんな・・」
ギンとジンの間には花でも飛んでいるようだ。
ギンは完全におびえているが。
二人がそんな会話をしているところにアイが入ってくる。
「二人の世界から帰ってきてよー」
アイは二人の間に入りジンのほうを向く。
「っとにジン君は。甘いよ、何へらへらしてるの。いつも仏頂面なくせに」
「・・・うっさい、アイちゃん」
ジンはアイを見るなり表情をなくしふてくされる。
「アイ、ちゃん・・・・て・・・・ぶっ」
スイはジンの言葉を聞いて吹き出す。
「アイお前、アイちゃんて呼ばれてるのか、すっげえ、いいじゃん・・・・くくくっ」
スイはアイを小ばかにするように指で指してお腹を押さえて笑う。
「・・・そんなに変か?この呼び方」
ジンは表情一つ変えずスイのほうを見る。
スイは「ジンさんのねーみんぐセンスは最高です」といいながら笑う。
「あれ・・俺のこと知ってる・・のか?」
ジンは今更ながらこのメンツ(アイ以外)とは初対面だった。
ギンとも先ほどあったばかり。
どうしてこのような状況になっているのかわからない。
「・・・・うん、あ!!そうそう、ジン君、これ落ちてたよ」
アイは急に大きな声を出してポケットから何か出した。
「ほら・・・・これ。あと今日は、二月の十四日だよ・・・わかってる?」
アイは困ったような表情でジンに白紙の手紙を渡す。
「・・・・・・・・あ・・あ・あああ・・・あ!!!!!」
ジンは、無表情のまま叫んだ。
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