無題
□第五話「泣いていいのは誰かが死んだ時だけ」
1ページ/9ページ
『愛されないなら愛せばいい 僕はこの世界よりも君の方が大切だ』
例えばあなたは こんなにも一途な人間を見たことはありますか?
***************
「や・・・・だよ・・・・」
か細い少女の声が響く。
「・・・・・愛してよ・・・お父さん・・・」
何もかもに絶望した声だった。
―――繚乱高校――――
「ちょ・・・女子高って規則キビシーんだろ??」
「いいじゃないの、べつに」
「そうだぞ?ばれてないのだ!」
それぞれの声が響く。
一人は青年。
一人は少女。
一人は青年。
スイ達は今、女子高に忍び込んでいた。
――――三時間前―――――
「どうすんだよ!?あの子どっかいっちゃったぞ?!」
スイは少しあわてる。
本当にわかりやすい慌て方だ。
「なんでそんなにスイ君があわててるの・・?」
「・・は?」
スイはアイの言葉に声を上げる。
「なんでって・・・だって・・・・なんか・・・」
スイはそこでなぜこんなにその少女の事が心配になったのかわからなくなった。
スイはそこまでの善人じゃないことを自分で分かってる。
「・・・・なんでだろう・・・なんか・・・助けなきゃ・・・って思って・・あれ・?」
スイは、少し考え込む。
ミロはその様子を見て真剣な顔でつぶやく。
「・・・【狂愛】か・・・・」
「「は・・?・」」
ミロの言葉にスイとアイは声を重ねる。
「教師の力に名前ってあるだろ?」
ミロは唐突に話し出す。
「あ・・ああ・・・??」
スイは生半可な返事をする。
ミロは、少し呆れながら話し出す。
「いい機会だから話してやろう・・・。お前らはな、俺様の力の破片だ・・・だから、俺様が死ねばお前らの力もなくなる・・・・・まあ、元からあった変な力は知らねえが・・・・・・スイの【時空】、アイの【嘘月】、レオの【集中】・・・・俺の中にあった力らしいから名前とか全部決まってるんだ・・・その教師に会うまではわからんが・・・・・」
ミロは長々と説明をする。
「・・・まてよ・・・それじゃああと教師が何人かわかるんじゃ・・・」
スイはミロの話に口をはさむ。
「・・・俺たち合わせて八人だが??」
「は・・・はああ???」
スイは思わず声を上げる。
「だから、八人いるんだよ。うるさいぞスイ」
なんでこんな大事なことこの少女は言わないのだろうか。
スイは、あほらしくなり「話を続けろ」と藪から棒につぶやいた。