無題

□第九話 「未完成な私と完璧な貴方」
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――――体育館―――――――――




「うわ、悲しいことにこのふいんきになじんでる」

「雰囲気ね。ふ、ん、い、き」

「・・ね、ネタだし・・」



スイとアイは言い合いながらあたりの様子をうかがう。

生徒たちが何十人もいる。


みな、アイが言ったようにスイ達と同じような服装をしていてなんだか異様な光景だ。



「・・・ギンは後で来るって言ってたけど・・服装がどうとかこうとかで・・」

「・・エムさんはいったいどこではぐれちゃったのさ・・三十過ぎでしょ?あの人は」

「え、三十路なの?!わっか、若すぎるだろ、エムさんの見た目」

「見た目って・・」



アイはなんだか楽しそうに笑いながらエムのことを話す。
どうやらエムはなじんでいるようだ。

スイの方も何とも慣れないこの雰囲気に適応してきている。



「・・まあ・・リアルにこの校舎広いから迷っちゃうよなあ・・・ギンも一人でここまで来れるかな?」

「・・朽血の事なんてほっといていいさ」

「・・朽血て・・ギンの事そんな呼び方してたっけ?アイ」

「・・・女子の事名前で呼ぶとか頭大丈夫?」

「・・・黙れ」


終わらない会話をする二人。


「・・・リアルに・・まあ・・エムさんはなんとかなると思うんだよ・・だって、ほら、最近携帯使えるようになったんでしょ?エムさん」

「うん、なんか最新の機種とか買っちゃって使えなくて困ってたらしいのね。んで、まあ僕がこう教えてあげたわけですよ」

「ああ・・だからちょっと仲良くなってるのか」



スイは納得したようにうなずく。


「・・・そうかな?」

「うん、いいと思う。お前あんまり人と仲良くならないから教師の中だけでもちゃんと仲とりもてよ?レオ君の時みたいなひどいこともうすんなよ?泣くぞ」

「・・・へへへ」

「・・へへへ、て」



二人は少々目立ちながらも(おもにアイが)あいている広い体育館に並べられている椅子に座る。
保護者用の用で決行の席がうまっている。



「・・なあ、アイ」

「ん?」

「・・ジンさんてさ・・そんな人気ある人なのかい・・?」

「・・・・うん、すっごい人気☆」



アイのウィンクが気持ち悪くてスイは目をそらし幕が閉まっている舞台のほうを見る。



「・・・へえ・・・・。俺芸術的センスがやばいから見ても分かんねえと思うんだよね」

「うん、スイ君の芸術的センスは宇宙レベルだから」

「・・ほう、俺の芸術的センスは誰にも理解できないと?ほう?」

「・・・スミマセンデシタ」


スイはアイに威圧をかけて話す。

正直時間はまだまだあるので話して過ごす二人。



はたから見るとすごい仲が良い二人だった。


元は独りの少年を中心に忌み嫌いあっていた二人なのだが



なんだか信頼すら生まれようとしていた。



どうしてこうなったのか、やれやれだぜ。











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