無題

□第九話 「未完成な私と完璧な貴方」
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―――――――数十分前――――――――



「・・・歌うって・・ジンさんが・・?」


大勢の生徒が人の歌を聴くだけのためにあれだけ集まるだろうか?
正直歌うようなキャラにも見えないし・・

スイはグラウンドで大勢の生徒に囲まれているジンを見て不思議に思う。

アイは少し嬉しそうに話し出す。



「まあそうだよねえ、歌うようには見えないよね、がたいもよくて顔もきれい、髪型ぼさぼさでジャージだけど脊高くて男らしい性格してるし・・歌を歌うようには見えないかも」


まるで自慢しているように饒舌に語る。

スイはそんなアイをめずらしいなと思いつつもジンの事を疑問に思う。




「・・・うん・・歌うような人じゃなさそう」

「まあ、歌うような人なんだけど」

「・・・・」


スイはアイの言葉に真面目に返事しているのが馬鹿らしくなり外を見る。



「・・俺らどうしたらいいの?ジンさん教師なんでしょ?」


スイはすべてわかったようにギンやエムのほうを見る。



「・・はい・・」

「・・」

「・・・・・僕らも歌を聴きに行こうよ」


アイが明るい声で言う。


「・・なんで?」

スイは一応声を返す。



「この学校の生徒でしょ?ジン君の歌一度聞いてみなよ、ほら、衣装いっぱいあるし」

「衣装?」


アイは生徒会室には似合わないタンスを引っ張りだし勢いよく開ける。


「・・・・・・ほら、好きなの選んで-」

「・・・・なんだこれ最低」


スイはその中のものを見て絶句する。


中には見たこともないような派手な服がたくさんある。
中には露出度がすごい衣服や、マニアックなものまで。


「生徒会なめちゃだめよー、何でもするからけっこうあるの。決して僕の趣味じゃないんだよ」

「嘘つけ」

「・・ひどいよー。今のスイ君からの本心だった」


嘘が聞き分けられるアイのは久しぶりに聞いたスイの本心だった。







そして先ほどに戻る。












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