日和短編

□★ つい出た本音
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「曽良君の馬鹿!!」
「馬鹿は芭蕉さんでしょう?」
「ムキー!!」

今では日常茶飯事となった二人の口げんか。
だいたいは弟子である僕が分からず屋の師匠を黙らし、それで何となく治まってしまう言であったのだが、この日は何かがおかしかった。
特に弟子が。

「そんなに君は私が嫌いなの?」
「嫌い?・・・まぁ・・・はっきりとは言えませんが、大嫌いなのは確かですね」
「嫌いより下!!?てか、めちゃめちゃはっきりしてるよねそれ!!」
「そういうことになるかもしれませんね」
「そーゆー事になってるよ!今!なう!!」

だんだん話すのが面倒になってきた。
どうしてこの人はこんなに感情的なんだろう。
さっきまでギャンギャン叫んでたくせに、今度は地面に顔が埋まるくらい落ち込んでいる。

「・・・君はどうせ私の事が嫌いなんだ・・・はぁ・・・スーパー松尾バションボリ・・・」

そのとき、言うはずの無かった言葉が口をついた。

「本当に馬鹿だな、本当にそんなこと思ってる訳ないでしょうに」
「・・・・・・え?」
「・・・・・・・・・・・・・・あ・・・!」

曽良は思わず口を押さえた。
いつもは頭の中だけに留めている言葉が、いつの間にか口に出ていた。
驚きと、言ってしまった事からの羞恥で真っ赤になったであろう僕の顔を見て、間の前の俳句野郎は嫌らしい笑みを浮かべながら近づいてくる。


「・・・ふ〜ん・・・曽良君、裏ではそう思っててくれたんだ〜?」
「・・・う・・・・・・うるさい・・・・・・・・・っ!」

恥ずかしい。もう泣きたい。
もういっそ泣いてやろうかと思ったが、それでは僕のプライドがズタボロになるし、糞じじいから更にぞんざいな扱いを受ける気がしたから止めておいた。
せめてもと、僕は彼を思いっきり睨み付けてやったが、知らぬ間に涙目になっていたらしく、結局泣いたのとさほど変わらなかった。

「ちょ、曽良君っ、そんな泣かないでよー!」
「な、泣いてませんからっ!この馬鹿っ変態っ俳句下手男!!」
「いろいろ崩壊してるよ君っ!!!」
「うるさいったら!」

もう耐えられなかった。
気持ちが昂ぶったせいで師匠を殴ることも忘れていた僕は、そそくさと先を急いだ。
というか、芭蕉さんから逃げた。

「あっ、ちょ、曽良君!!先行かないでよ!」
「着いて来ないでください!」
「いや、そうゆう訳にはいかないでしょ!?」
「じゃあ、着いて来ていいんで、64,800秒数えてから来てください!」
「無理だよ!どんだけ時間経つの!!?」


「・・・およそ一週間でしょうか?」
「どんだけだよ!!!」


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つい本音が出ちゃう曽良君wwww
BLでは・・・ないよね・・・?

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