薄桜鬼

□風間さまの日常
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"左之さん"とやらは、たしか不知火が言っていた
原田左之助のことだろうな。
永倉新八も含めてよく一緒にいる、無償にうるさい三人組。

「そっかぁ。
じゃあ、いいや。」

なぜ、そこで千鶴の傍に腰かけるのだ?

「お〜、平助。
何やってんだ?」

そしてなぜ、すぐにお前たちは集まる?

「左之さん、あっ。新八っつぁんもぉ。」

「くぉら、平助!
この俺様をついで呼ばわりたぁ、いい度胸してんじゃねぇか!」

……。

「うるさい。」

俺と同じ言葉を口にしたのは、斎藤一か。

そういえば、天霧が妙に褒めていた気がするが。
さして、他と違うようには見えん。

「みなさん、休憩ですか?」

千鶴の問いに、頷くあいつらに聞きたい。

「なぜ、手伝ってやらんのだ?」

いや、そもそも千鶴がする必要などないではないか。
千鶴がするのは、
この俺のことだけでよい。

自分のことすら、満足に出来ないやつらが、この俺よりも勝っているなどと絶対に認めん。

「雪村、手伝う。」

ほう?
さすが天霧が褒めただけはあるな。

「斎藤さん、大丈夫ですよ。
もう、しまいですから。」

「そうか。」

笑いあう二人が面白くない。
千鶴がそれでいいのなら、いいのだが。

俺に見せたことのない笑みを
新選組のやつらに見せてやるのは、なぜなのだ?

「どこが違う。」

疑問が渦をまいていると、
ドタドタとやかましいふたつの足音と怒声。

「…ああ。」

これは、もういつも通りの展開か。

「総司!待ちやがれ!」

鬼よりも鬼らしいと言われる土方歳三と、

「あはははは。嫌ですよぉ。」

新選組一の剣客と言われる、
沖田総司か。

俺からしてみれば、どちらもとるにたらん。
ただの人間だがな。

「一くん、受け取って。」

「断る。」

「え〜。じゃあ左之さん。」

はいっと笑顔で沖田が飛ばしたもの。

「なんだ、あれは?」

土方が青い顔をしたあたり、よほど他の手には、触れられたくないものなのだろう。

「おっ?なんだぁ。」

受け取った原田とやらも首をかしげている。

見たところ書のようだが……。

「てめぇら!
絶対に見るんじゃねぇ!」

そんなに大事なものなのか?

ならば、すぐに返してって……

土方から原田に視線を戻そうとした途端に沸き上がった笑い声に驚いた。
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