操花の花嫁

□五巻 神の木に宿る力
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<其ノ三 姫の投降>



ずっと、心の中で感じ続けてきた罪悪感。

──おまんのせいで始まった戦争じゃ!──

烈の言葉が、それを表に引き出した。

私が産まれたせいで、

産まれてこなかったら、

……どうして私を産んだの?

何度も繰り返し、繰り返し自分に問いかけていた。

答えなど出ず、誰にも聞けず、教えてももらえない。

誰もがきっと、華にむけていた言葉で、誰もが言えなかった言葉。

それを正面きって言われた華は、やっぱりそうだったのかと、心の行き場を失った。


「どうして私が預言の姫なの?」


──誰か変わってよ!

なりたくてなったんじゃない。

ただ、普通に暮らしていたいだけなのに、もう誰も巻き込みたくないのに、それは許されない。

命ある限り追われる日々が続くことは、あきらかだった。

自分で自分がイヤになる。

───楽になりたい。


「私を解放して。」


誰か助けて、この苦しみから救って、何度も心の中で叫び続けていた言葉が渦を巻いて頭の中を支配する。

─おまんさえ御影にわたせば─

烈の言葉が、華にわずかな希望を見せる。


「争いが終わる。」


自分で呟いた声に目を覚ます。
朝見た天井がそこにあった。
部屋の中が薄暗いことを除けば、周囲の喧騒も部屋に華以外の誰もいないことも何もかも同じ。

長い夢を見ていたような錯覚を覚えるが、全身を襲う気だるさと深い悲しみが全てを現実だと教えている。
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