薄桜鬼

□もしも現代物を渡してみたら
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もしも新選組に現代物を渡してみたら。

part 2 携帯電話


新選組の屯所内を大柄の男が鼻歌まじりで歩いている。

「新八っつぁん。何、鼻歌なんかうたっちゃってんの〜?」

「何かいいことでもあったのか?」

彼、永倉新八にそう声をかけたのは、藤堂平助と原田左之助。

いつもの三人が揃えば、そこは屯所内で一番騒がしい場所になる。

「聞いて驚け。見てもっと驚け!」

「新八っつぁん、そんなに驚いたら死んじまうじゃんかぁ。」

「期待させるだけ、あるんだろうな。」

「あたぼうよ!」

勢いよく新八が懐に手を掴んで掲げれば、

「ちょっと、何もみえねぇし。」

「なんだ、そりゃ。」

期待はずれの反応が二つ。

「おいっ。よくみろって。これだよ、これ!」

慌ててその手を下げれば、大きな手の平の中に小さな物体がひとつ。

「すっげぇ…のか?」

「…さぁ。」

平助が原田に目をやれば、原田はゆるく肩をあげた。

「おめぇら。もっと驚けよ!何だぁこれはっ!…とかよ。」

白い目で見られていることに気づいたのか、段々と顔をひきつらせていく新八に、

「どこにあったんだ?」

と、もっともな原田の質問がかかる。
いやぁ…とか、そのな…と言葉を詰まらせた新八に原田は盛大にため息を吐いた。

「頻繁に通ってんじゃねぇよ。」

「えっ?新八っつぁん、また行ってたのかよ。土方さんに見つかっても知らねぇかんな。」

期待外れの反応をされた上に説教をされれば新八は、居心地が悪そうにポリポリと頭をかいた。

「へぇ。誰が島原で遊んできたんですかぁ?」

「げっ!?総司…」

ニコニコと騒がしいところに顔を突っ込んできたのが沖田総司。

「いいなぁ。自由に外に出れる人は。」

「え…笑顔が怖ぇよ。」

青ざめた顔で距離を取ろうとする新八の手の中のものを目ざとくみつけた沖田は、

「いっけないんだぁ。」

と、わざとらしく声をあげた。
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