薄桜鬼

□もしも現代物を渡してみたら
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もしも新選組に現代物を渡してみたら。

part 1 トランプ


「副長。」

「斎藤か、入れ。」

襖ごしにかけられた声の主を土方は、部屋へと招き入れた。

「どうした?」

いつもと様子が違う斎藤の姿に書類から土方が顔をあげて振り替える。

「先日捕らえた者から、このようなものが…」

「なんだ、これは?」

「わかりません。」

斎藤が差し出したものに見当がつかないと土方は首をかしげて眉を寄せる。
斎藤は、無表情のまま何を考えているのかはわからない。

「土方さん入るぜ。」

「土方さぁん。ってあれ?一君?」

「斎藤じゃねぇか。何してんだこんなところで。」

そこに現れたのは、いつもの三人組。
だが、目の前に置かれたものを見つめたままの土方と斎藤は、彼らに見向きもしない。

「無視かよ。」

と、原田。

「一体何してやがる?」

と、永倉が首を傾げれば、

「なんだ?それ。」

と、平助がそれを指差した。

「先日捕らえた者から預かったものだ。」

斎藤が律儀に返せば、

「花札ですかぁ?賭け事は、しちゃいけないんですよぉ?」

と、どこからか沖田が現れた。

「ちげぇよ。」

わらわらと沸いて出た幹部たちに土方は、舌打ちをして降参だとばかりにため息をはいた。

「さっぱり、わからねぇ。」

「見たところ、ただの紙の束のようですが…」

「だから花札でしょ?」

「違うんじゃねぇのか?」

総司の笑顔に、原田は呆れた視線を向けつつも、中央に置かれていた"それ"を手にとった。

「うぉ!左之、いきなり持ち上げるんじゃねぇよ。」

「わっ悪ぃ。」

バラバラと散るそれらを慌てて拾う原田の手が

「これって数なんじゃねぇ?」

という平助の声にとまる。

よくよく見れば、赤と黒の二色の模様と4つの紋。

「何かの暗号か?」

斎藤がポツリとつぶやけば、

「とりあえず分けて見るか。」

と、土方の命令でしぶしぶ幹部が腰をまげた。
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