薄桜鬼

□君が笑顔でいてくれるなら
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side 藤堂 平助


──俺は、千鶴が好きだ。

この気持ちは、誰にも負けねぇ自信がある。
だけど、俺はまだまだガキだから…

「あれ?平助くん?」

「えっ?あっ千鶴。」

名前を呼ばれて振り返れば縁側に腰かけて見上げてくる千鶴がいた。

俺としたことが…
千鶴のことを考えながら、目の前の千鶴に気づかないんじゃ、本末転倒じゃん。

「はぁ。」

「どうしたの?何か悩み事?」

自分の不甲斐なさに肩を落とせば、心配そうに千鶴が訪ねてくる。

千鶴のことで悩んでるなんて、言えるわけねぇじゃん。
こういう時、なんて返せばいいのかな…

悩む俺をよそに、

「私で良ければ、話しくらい聞くよ。」

と、千鶴は笑う。

「可愛いよなぁ…」

「えっ?」

「いや、なんでもねぇっ。」

危ない危ない。
思わず口から出ちまったじゃんか。

焦って首をふったおれに、首を傾げる千鶴。
ヤバい…
見上げながら首を傾げるとか…可愛いすぎるんですけど…

だけど、当の本人は何を思ったのか急に悲しそうにうつむいた。

「なっ!?何かあったのか!?」

焦った俺に返ってきた千鶴の答えは、

「私じゃ、やっぱり平助くんのお役になんて、たてないよね。」

だったから、ますます焦る。
そんなこと言われたら期待するんだけど!

……じゃなくて!

「そ…そんなことねぇよ。」

「でも…」

「千鶴には、いっつも元気もらってるって。」

「そう?」

「そぅそぅ。もう居てくれるだけで、パァってなるっつうか、なんての?落ち着くんだよなっ。」

焦ったのを誤魔化すように喋ってみたけど…
勢いにのって、凄いこと口走っちゃったじゃん!

多分俺、今、顔赤いかも…

だけど、千鶴は気付かないのか気にしないのか「ありがとう」って笑う顔が、少し赤くって。

俺と同じで…。
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