ソレが無いのは致命的!

□続・ソレが無いのは致命的!:01
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 質問。
 マウストゥマウスなキスをしている二人の間に、親友という関係性は成り立つんだろうか?

 回答。
 チューする時点でおかしいだろ、気づけ。


 僕の脳内一人ボケツッコミは、容赦なかった。

 そうだよね、そうだよな。
 何度自問自答したところで、結論は変わらない。
 なのに現状、僕はそのアリエナイ関係性ってやつに、振り回されていた。

 いや、ことの発端の全ては、僕に責任があるんだろう。
 それも頭では理解できてる。


 御剣が僕のことをそのようなアレの対象として見ている、だなんて衝撃の告白を受けて。
 同性愛者になんてとてもなれそうになく、その想いを、申し訳ないとは思いつつも受け入れられなかった。
 そんな僕に対して、御剣は。

「もう二度と、君とは会わない」

 だなんて、言い出したもんだから。
 あの時の僕には余裕が無さすぎて、御剣っていう大切な親友を失わないために、必死で。

 咄嗟に「チューくらいなら我慢できるよ!」だなんて、とんでもないこと言ってしまったんだ。
 それがまさか、御剣の脳内で「キス込みの親友関係なら続けていける」というぶっ飛んだ解釈になるなんて。

 すぐさま否定したかったけど、清々しく眩いばかりの、とんでもなく貴重な笑顔ってやつを向けられてさ。
 僕がどうして、その笑みを翳らせるようなことを、言えるだろう。

 だって、やっぱりどんなことがあったって、僕にとって御剣怜侍っていう男は。
 大切で、特別で、かけがえのない存在なんだ。
 そんな彼の想いを否定してしまえば、それこそずっと一緒になんて居られなくなってしまう。

 そんなことは、絶対に嫌だった。


 だからってどうして、親友でありながらキスをする、なんていう状況に陥らなくちゃならないのか。
 納得なんて全然できないのに。


 御剣と僕の関係性はつまり現在、そういうことで、落ち着いてしまっていた。







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