血と愛

□13:約束
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*13:約束*




 意識が浮上し、最初に抱いた違和感は、匂いだった。

 嗅ぎ慣れない、微かな温もりを伴うような。
 薬草のそれに混ざるようにして香る、人間の匂い。

 途端に、目が覚めた。


 そうして……私は。


「あ、起きた?」


 覗き込むように見下ろしてくる、黒曜石の瞳と出会った。


 成歩堂龍一。
 私が唯一愛した、かけがえのない魂。




 ああ、これは夢だ。

 夢を見ているのだ。




 遠い……全てが始まった、あの日の。
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