血と愛

□1:月夜と色のない花
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 寂しい、哀しい、と。
 綺麗な綺麗な青年は、その瞳から宝石と見紛うばかりの雫をいくつも落とした。


 その、この世のものとは思えないほどに美しく、胸に迫る光景は、どこまでも切なくて。


 この、心臓を。
 手放してしまえそうなほどに、切なくて。


 泣かないで、哀しまないで、どうか……どうか。
 笑ってほしい。


 そう、心の底から湧きあがる叫びにも似た、祈りのような願いに突き動かされて。




 …………ああ、だから僕、は。







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