宝物殿
□甘味
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相互リンク記念にと、素敵な二人を頂戴してしまいましたよ皆様!!
ということで、とにもかくにもズズイとどうぞ〜ッ。
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まふり、と一口。
「うん、美味しい」
ほっ、と安堵の表情を浮かべる向かい側。
僕がお気に召すかどうか不安だったのだろう。たかだか饅頭がまずい程度で、僕は彼を嫌いになったりしないのに、だ。
(……だいたい、お前の持ってくるものって、僕が普段口にするものより値段が2桁は違うんだよ)
こんの、ブルジョワ。と内心愚痴を零しつつ、もう一口。
うん、今回の彼の手土産も甘すぎるくらいに甘い。
そっと、彼の顔を伺う。
上機嫌なようで、眉間の深いヒビもない。
ふと、以前からの疑問が頭を占める。
――どうして、毎回事務所に来る度に手土産を持ってくるのだろう?
まだ恋人として付き合う前ならいざ知らず、互いに想いを自覚して、こうして恋人となった今でも、彼はいそいそと手土産を持って僕の事務所にやって来る。
しかも、持ってくるやつは甘いものばかり。
確かに、初めて彼が手土産に持ってきたフルーツケーキはすごく美味しかったし、甘いものはいいよな、なんて言った覚えも薄っすらとだがある。
まさか、まだ覚えてて、それで毎回買ってくるのだろうか?
うーん、と考え込みながら、また一口。
(あ、…)
思い出した。
――こいつ、僕が初めての恋人って言ってたっけ。
それに気づけば、疑問はするすると溶けていく。
ようするに、彼は僕を甘やかしたいのだ。
甘やかしたいから、毎回お菓子をもってくるし、僕が旨いと言って食べてくれるのが嬉しいのだろう。
(……なんだ、そういうことか)
疑問が無くなれば、後に残るのは、呆れと愛おしさ。
(ほんとに、こいつは…)
照れ隠しに、彼に話しかける。
「御剣も食べればいいのに」
「ム…いや、結構だ」
君に持ってきたのだから、と柔らかに微笑を浮かべ、これまた歯の浮きそうな僕を甘やかす台詞。
結局、こいつは、僕を甘やかしたくてたまらないのだろう。
――それも、そう悪い気分じゃないかも。
そう思ってる時点で、僕も大概彼に甘い。
本当は、持ってくる手土産が毎回甘すぎるのにはうんざりだし、こいつに甘やかされるっていうこの状態も不本意極まりないのだけれど、
こうやって彼が幸せそうに笑うのを見るのは好きなのだから。
今日も僕は、
僕に甘すぎる彼の、甘すぎる手土産を食べながら、甘やかしたがりの彼に甘えさせてやるのだ。
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短いですがあとがき
前から書きたかった、甘やかしたがり攻×強気受を、この機会に書いてみましたw
趣味に走ってしまってすみません(;´∀`)
ちなみに、この二人だとナルが毎回気苦労をかけられます(笑)