鬼灯

□買い出し
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久遠ちゃんが突然変異で巨大化した次の日。
私達は月讀さんに言われて町に来ていた。


あの人容赦無い。自分のペットが変形していてもお構い無しにパシリにするんだね。


「久遠ちゃん」

「馴れ馴れしく呼ばないで欲しいんだけど」

「私達何買えって言われてたっけ?」

「はぁ?お前馬鹿?それくらい覚えておきなよ」

「包丁と斧だったような……」

「誰を殺す気だよ。食料の買い出しだろ?」

「あぁ狩りに行けという事ですか。あの人ホンマ人使い荒いなぁ」

「この馬鹿!」


大人久遠ちゃんは私を一喝してすたすたと先に行ってしまった。

久遠ちゃんを追い掛けなきゃ。


「お、そこの可愛い娘さん!」

「私?」

「そうそう。どうだい?串焼き田楽!」

「食べる食べるー」


このおっさんが作る串焼き田楽美味しいんだよね。
ポケットマネーから代金を取り出して購入。

出来たてのそれを食べながら再び町の中を歩きだした。



田楽を食べ終わる頃、甘い匂いがする場所に差し掛かった。
この匂いは……


「おやあんた月讀さんとこの!」

「あら奥様。相変わらず美人だからすぐ分かりますね」

「上手い事言うねぇ!ほら、これあたしの奢りだよ」


適当にお世辞言ったら饅頭貰ったぜ。
二つ貰ったから後でゆっくり食べるとしよう。


こうして町を見ていくと私の世界とは違うんだなって思う。
お世辞言っても饅頭ただでくれる店員さんなんて居ないし。イッツマニュアル対応。







ある程度散策して気になった事がある。


「私何しに来たんだっけ?」

「ちょっと!」


悩みだしたタイミングで後ろから声を掛けられた。
気のせいか怒ってるし。


「久遠ちゃん、どうしたの」

「『どうしたの』じゃないだろ!お前何僕に押し付けて自分は楽しんでんだよ!」

「私、何か押し付けてたっけ?」

「買い物だろ」

「…………あぁ!」


そうだそうだ。私は買い物を頼まれてたんだ。


「何?まさか忘れてたとか言わないよね?」

「忘れてたんじゃないよ。串焼き田楽が美味しかったんだ」

「忘れてたんじゃないか」

「ごめん」
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