REBORN!

□可愛い孫
2ページ/6ページ

・・・あれ?なんだろうこの感じ。
変な空間だ。
前に十年バズーカに当たったときと同じような、浮遊感。
ああ、タイムマシンに乗ったドラえもんとかってこんな気分なんだろうな。
・・・・・・・・タイムマシン?

「うわぁ!?」

俺は急にどこかへ投げ出された。
着地できずに床に這い蹲るように倒れこむ。
ふわふわとした手触りに、そこがどこかの部屋の中で、しかもかなり高級な場所だと分かった。
触ったことないくらい上質な絨毯だ。

「こ、ここは・・?」

薄暗いその部屋は、結構な広さのある外国風の部屋だ。
立ち上がって周りを見渡すと、シンとした部屋に布の擦れる音が聞こえた。
その音の方へ向かうと、イヤな予感がした。

「これってもしかしてデバガメ・・・」

ギシ、というベッドの音と布の擦れる音、そして荒い息が聞こえてくる。
見てはいけないとは思いつつも、何しろそっち方面には興味深々のお年頃。
ドキドキと高鳴る鼓動、好奇心に勝てずに足が進む。
良心が咎めるのだが、見たい気持ちが先行してしまう。

「失礼しまーす・・・」

小声で言ってしまってから慌てて口を塞ぐも、聞こえなかったのか、異変はない。
そして口を塞いだ瞬間に違和感。

「・・・あれ」

目の端に移った自分の手がおかしい。
口元からはがした手を目の前で透かしてみると、輪郭は分かるが向こう側が見える。
・・・透けている。

「嘘・・俺もしかして幽体離脱・・!?」

獄寺君に話したら喜びそうなことだ。
さっきも聞こえなかったとか無視とかではなく、ただ単純に俺の存在を認識してないってことだったんだ。
もぞもぞと動く掛け布団を覗き込んで、息を潜める。

「―――――っっ!?」

見えた顔に息を呑む。
それはとても見慣れた顔で、でも少しだけ違って。

「はっ、んぁっ」

艶やかな声にぞくりと背筋を這い上がる。
上にまたがる人物を視認して、更に俺の置かれた状況を理解する。
金色の髪と鋭い瞳。
見覚えのあるその顔は、それもそのはず、俺の遠い先祖。

「ん、ジョット・・・」

どうやらタイムマシンというのはあながち間違いではなかったらしい。
組み敷かれたこの人は、獄寺君の嵐の継承試験にやってきた人だ。
でもおかしいな・・、この人は女性だし、継承の時に来たのは確かに男性だった。

「女の人の身体って始めて見た・・・」

本物は見たことない。
全身の血が沸き立つようで、・・・特に下半身が。
顔が獄寺君に似ているから余計に頭が勝手な妄想を繰り広げる。
二人には俺が見えていないから、思いっきり空気をぶち壊すくらいのぞき込んでいた。
ふ、と視線を感じて、顔を上げる。

「・・・あ」

バチ、と音がしそうなくらい初代と目があった。
ハイパー死ぬ気モードじゃない初代は初めて見るなぁ。
いやいやそんな場合じゃないぞ俺。

「いやあのっ、これはわざとじゃなくてっ!」
「・・・誰だお前は。どこから入った」

見せてたまるか、とでも言うように赤い髪の、確かGという名前の初代嵐の守護者を抱きかかえる。
グチ、と生々しい音が聞こえて、俺が赤くなるのと同時にGさんの息をつめる声が聞こえた。

「えーと、ていうか俺が見えるんですか・・・」

初代の肩を押すGさんには俺は見えていないようだし、急に実体が出たわけでもないだろう。
訝しげに目を細める初代は、俺の首にかかっている鎖の先、ボンゴレリングに目を落とす。
少し目を見開き、ふ、と笑った。

「えと、俺は沢田綱吉・・っていって!信じてもらえないかもしれないけどあなたの子孫にあたるっていうか!」

ほんのちょっとだけ驚いたような表情をする初代は、すぐに仏頂面に戻る。

「・・そうか」

目を伏せてそう呟く。
Gさんが不思議そうな表情で見上げている。

「あの、信じてくれるんですか?」
「・・・ああ。他人とも思えない」

薄く笑みを浮かべる初代。
いつまでも続きをシない初代に焦らされていると感じたのか、Gさんがムッとした表情をする。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ