綱獄

□メリークリスマス!
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回想編



「ん・・・どうしたことか」

どうやらルールを分かっていなかったらしく、大量の同じ数が書かれたトランプを持っていた。
Gはそれを眺めながら紅茶を飲むジョットを一瞥した。
なんだ、ジョーカーも入ってるし結果は同じだったようだ。
エースが一枚あぶれていた。

「ホントに覚えてねぇのか?」

神妙な表情だったのを思えば相当に悩んでいたことだろう。
そんな内容をすっかり忘れておきながら紅茶を飲んでゆっくりしているこいつは。

「・・・人間性疑う」
「待て、心外だぞ。全く覚えていないわけではない」

それは数日前のこと。
ジョットがいつも通り綱吉のゲームを借りパクして何十人もの赤い帽子を被った小さい男を殺していたころ。
妙に暗い表情で綱吉が尋ねてきた。
ゲームを取り返しに来たのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
そのまま暗い調子で喋りだす綱吉。

「借りたものはちゃんと返せって言っただろ」
「ちゃんと返したぞ。あまりに腹立たしかったので半分に割ってしまったが」

借りた上に壊すなんて何を考えているんだこいつ。
というかクリア出来なかったのかよ。

「で?綱吉はなんてったんだ?」

ジョットが腕を組み、深く頷いた。

「悩みの相談だった」
「んなことは分かってんだよ」

綱吉が何かに悩んでいると思ったからこうして聞いているんだ。
少し思案するような表情になったジョットは、哀愁漂う表情でGに手招きをした。
呼ばれるままに近寄る。

「どこ触ってんだてめぇは!」
「肝心なところが思い出せない」

腰から尻を撫で回す手を捻り上げ、頬を引っ張った。
孫の相談も覚えてねぇとは、どんだけ適当なエロジジイだこいつ。

「全く思い出せねぇのかよ」

小さく頷く様子には微塵も申し訳なさなど感じない。

「ただこれだけは言える」

妙にかっこつけた様子で、額に手を当て、足を組み、失笑しながら。

「非常に残念なことに、俺はそのとき強かに酔っていたのだ」
「本当に残念だな」

ジョットが役に立たないので、人に聞いてまわることにした。
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