デュラララ!!

□昔話をしよう
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炎天下。
近頃夏の温度がどんどん上がっている。
砂利の校庭に熱が反射し、どことなく歪んで見える。
太陽は今日も張り切って燃え盛っているようだ。

「おはよー!静雄くん!」

そんな暑さ漂う教室。
小学校の教室だ、クーラーなんてないし、扇風機だって当たりもしない位置で首を揺らすばかり。
どんなに薄着をしたって汗が滲んで来る。

「・・・はよ」

教室の一番前、教卓のすぐ斜め前の席。
そこに、僕が小学校時代唯一友達だった子がいた。

「今日あっついねー。地球温暖化も本腰入れ始めたのかな」

茶色の髪に茶色の瞳。
肌は白く、顔もそこそこ整っているし、けっこう細身。
小さいし、知らない人が見れば中には女の子と間違う人だっているんじゃないかなってくらい中世的な子。
平和島静雄。

「こう暑いと何もする気なくなっちゃうね」

黙ってればかっこいいし、運動も出来る。
というか、むしろ寡黙なほう。
弟の幽くんと並ぶと人形みたいだ。
そんな彼の、一番の特徴といえばひとつしかない。

「・・・暑い、イライラする」

静雄くんがそう言った途端、教室中の子供たちが静雄くんから逃げるように教室の隅へと走った。
私は隣の席に座って団扇を取り出した。

「それはよくないね。カルシウムが不足してるんじゃないかな?おかしいね、静雄くんいつも牛乳飲んでるのにどうして不足するんだろう?ああそっか、いっつも暴れてすぐに骨を折っちゃうからだね!駄目だよ!あ、ごめ、いたっいたたたた!痛いよ静雄くん!」

ただ軽く頭を押されているだけなのに、まるで頭上に巨大な鉄の塊があるようだった。
俺の頭から手をどけて、少しイラついている静雄くんは机に手を軽く叩き付けた。
ビシッ!
太い木で作られた机がひび割れた。

「駄目だよ静雄くん!器物破損だよ?」
「うるせぇ、俺をイラつかせる気温とこの程度で壊れる机に問題があるんだよ」
「まためちゃくちゃ言って・・」

そう、静雄くんは常人では考えられないほどの怪力の持ち主だった。

「ねぇ」

そこまで話したところで、凛とした声が私の言葉を遮った。
臨也は面白そうな、あきれたような表情を浮かべている。

「新羅は結局何が言いたいの?」

予感があったのだ、僕には。
近いうち彼にまた会えるという予感が。
そして、私には合わなかった彼の歯車が、目の前にいるずる賢い男に合うような気がする。

「君はきっと夢中になるよ、臨也。僕がセルティに夢中なようにね」

臨也は表情を消した後、薄く笑って僕の家を去っていった。

END
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