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□変態という名の
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昼休み、屋上での一コマ。
一人は上機嫌で箸を進め、一人はデレデレと口を開ける。
そしてもう一人は出来るだけ視界に入れないように無言で箸を進めた。

「十代目、あーん」

玉子焼きを挟んだ箸が綱吉の口に運ばれる。
それを食べようと口を開けた瞬間、後頭部を衝撃が襲った。

「いってー・・なんだよリボーン!?」

背中に乗る黒い赤ん坊を振り返ると、代わりに玉子焼きを食べていた。
ムカ、と来てすぐに文句を言おうとも思ったが、倒れた場所が獄寺の膝の上だったため、思い直す。
大丈夫ですかと声をかける獄寺に笑顔を返すと、背中のリボーンが背骨をかかとでぐりぐりと押しつぶす。

「いででででっ!?」
「へらへらすんじゃねぇダメツナが」

ただ邪魔しに来たであろうリボーンは綱吉の背中に胡坐をかいた。
獄寺に食わせろ、と命令し、綱吉の弁当を食べ始める。
腰に手をまわしながら俺の弁当がぁと嘆いているが、同情の余地もない状況だ。
自分の分を食べ終わった山本は手を合わせてすぐに弁当を片付ける。
馬に蹴られたくないのだ。

「最近のおめーのデレデレした顔がムカつくんで、新しい特殊弾を持ってきてやったぞ」

灰色の弾丸をかざしながら綱吉の背中で立ち上がった。
リボーンが弁当を置け、というと、獄寺は素直に置き、リボーンに向き直った。

「てことで、プレゼントフォーユー」
「へ?」

ズガン、という銃声が響き渡り、獄寺は後ろ向きに倒れた。
それを目で追い、慌てて身体を起こした。
背中に乗っていたリボーンは床に飛び降りる。

「獄寺君?獄寺君!」

抱き起こし、軽く揺さぶる。
小さく呻くのを聞くと、安心して息をついた。

「今の弾なんだよリボーン!」

リボーンは人の悪そうな笑みを浮かべるだけで何も言わない。
抱きしめていた獄寺の手が、綱吉の胸元の制服を握った。
起きたのかと思い、すぐに笑顔を向けると、ギラ、と緑色の瞳がのぞいた。
その鋭い光に、思わず身体をすくめる。

パァン!

響き渡った音に、リボーンはニヤリと笑った。
頬を張られた綱吉は、赤くなった場所を手のひらで覆う。

「気安く触るな」

綱吉の肩を押し、そのまま立ち上がると屋上から出て行ってしまった。
あまりの豹変ぶりに山本もぽかんと口を開けている。

「どうやら効果が現れたようだな」

うんうんと頷くリボーンを振り返る。
まだはたかれた場所がじんじんと痛み、涙が出た。

「獄寺に撃ったのはまだ名称もない弾だ」

先ほどの灰色の弾を見せる。
死ぬ気弾とは違うデザインの弾。

「目覚めて最初に見た相手に今までと逆の態度を取る」
「そ、それじゃ、あれは・・・!」

獄寺が綱吉を殴ったというだけでもう事件なのに。
更に獄寺は敬語を使わなかった。
ザマーミロとでも言いたそうな表情をするリボーン。

「ふ、残念だったねリボーン」

目を伏せ、薄く微笑む。
そのまま顔をあげ、しっかりと握りこぶしを作った綱吉はリボーンに向かってこう言い切った。

「俺は獄寺君が相手ならSも快感だ!」

ドーンという書き文字が見えそうなくらい言い放った綱吉の頬はまだ赤い。
というか少し興奮も入って赤くなっているようだ。
いつも笑顔しか向けられない綱吉は、実は冷たい目で見られてみたいと思ったことは少なくなかったのだ。
そしてそんな教え子に、リボーンはこう言うしかなかった。

「キモッ」

綱吉は屋上を去った獄寺を走って追いかけた。
階段を降り、鳴り響く午後の授業を知らせるチャイムを聞く。
ざわざわと騒ぎながら教室へ入る生徒を横目に、一階まで降りる。
靴箱が見えた瞬間、靴を履き替えて左に曲がる銀髪を見つける。

「いた!」

急いで履き替えて追いかける。
銀髪を揺らして白煙を吹かす彼の肩を掴んだ。
待って、と声をかけると、ギロ、と振り返ると同時にガンと頭を殴られた。

「痛い・・・」

それでも手は離さない。
ズキズキと痛む場所を手でさすり、顔を見上げた。
冷たい。
山本にもこんな目をしたことはないってくらい冷たい目だ。

「離せよ、変態野郎」

手をぱし、と払われ、顔ごと目線をそらされる。
ガーンとショックを受けると同時に何故か興奮している自分がいた。

「そう、確かに俺は変態だよ・・・」

獄寺君にあーんしてもらって喜んでたり、膝の上に突っ伏したまま抱きついたり。
しかも冷たい目で見られて罵られて殴られても全然苦じゃなかったり。
自分でも薄々変態だなと思っていた。

「でも俺は獄寺君限定で変態なんだよ!」

握りこぶしを作ってそう断言する綱吉に、獄寺はドン引き。
心底嫌そうな顔で真っ青になりながらこう呟いた。

「キモッ」

特殊弾の効力は一週間続き、その間に綱吉は充実した日々を過ごしたとさ。



おまけ

「見事なドMが育っちまった」
「あのリボーンさん・・・」
「なんだ」
「十代目が最近、俺に、その・・・罵ってくれとか殴ってくれとか言ってくるんですが・・・」
「・・・」
「俺は、どうしたらっ・・・!」
「いいんじゃねぇか、殴ってやれば」
「そんな!十代目にそんなことっ・・・」
「獄寺君!こんなところにいたんだね!」
「ひっ!?じゅ、じゅうだいめっ・・!」
「座るんなら俺を椅子にしていいよ!」
「いやあの・・・」
「キモい」
「リボーンに罵られてもなんとも思わないよ、俺は獄寺君に罵られるから気持ちいいんだ!」
「それはよかった、純粋に苦痛だけを味あわせることが出来て」

ガツン!

「じゅ、十代目が頭から血を!?」
「うう、獄寺君・・膝枕・・・」

ずる、ずる、と獄寺に向かって這う綱吉にリボーンはこう呟いた。

「キモッ」


終わりっ!



とりあえず私も一言。

キモッ

この十代目今までで一番キモいかもしれない!
ごめんなさい!
ホントもう、なんて言えばいいのか。
楽しかったです←
『Mツナ×デレ獄→ツン獄で興奮Mツナ』というか。
Mに目覚めるツナだったような・・・。
すみません、絢都様・・・。
リクエストありがとうございました!(終わらせた

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