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□お前のせいだ!
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「っ・・ん、はっ」

明日は超がつくほど重要な任務。
本当ならこんな自分勝手な上司の部屋でこんなことをしている暇はない。

「お前はいつも声を殺すな・・・聞かせてくれてもよいものを」

覆いかぶさる金色が無責任なことを言う。
今更といれば今更だが、俺は男なんだ。
女みたいにあんあん嬌声をあげるのはプライドが許さない。
というか、この昔はダメダメだった幼馴染にそんな声を聞かせてたまるかという意地だ。

「ふ、くそっ・・・しつけーんだよてめぇは・・・っ」
「まだそんな軽口を叩けるようならまだ大丈夫だな」

ニヤリと笑うジョットは俺のナカに突き立てたモノを動かし始めた。
背筋をぞくぞくとしたものが這い上がり、上がりそうになった声を慌てて手で押さえた。
明日の任務から一週間は帰ってこないことを伝えたらこの有様だ。
どんどん突き上げる力を強くしてくるこいつは、明日の俺を気遣う気は毛頭ないらしい。
というよりもそれを理由に任務に行かせない気なんだろう。
させるか、絶対に行く。

「ん、く・・っ、ぁ・・も、イ、くっ」
「ああ・・俺も、そろそろっ」

ガンガンと酷く強い力で突き上げてくる熱い楔に、強く両手で口を押さえて声を殺す。
痛いのか気持ちいいのかも分からない。
ただただ熱くて、息が漏れる。
きつく目を瞑ると、ナカに熱いモノが流し込まれ、全身の疲労感に、自分も射精したことが分かった。

「大丈夫か?」

薄く目を開けると、さほど心配している顔ではない。
ニヤついた顔をそのままに、熱い手が髪を梳いた。
ギロ、と睨んでも、涙を浮かべた顔では迫力も出ない。

「だい、じょうぶなわけねぇだろっ、はぁっ、好き勝手しやがって!」

目の前の身体を足蹴にして、奥まで突き刺さったジョットのモノから逃れた。
ぬる、とした感触にざわざわと快感が上ってきた。
そのまま締りのない頬をつまんで左右に引っ張った。

「いひゃい」

急にガバ、と腕の中に招き入れられて、息が出来ないほど深く口付けてくる。
赤く夕日に照らされていた空がもうどっぷりと闇に浸かっているのが見えた。
背中を叩いて離せと伝える。

「っは、な、なんなんだてめぇっ」

口を手の甲で拭い、身体を離した。
手元にあった服を手繰り寄せて床に足をつく。

「G」

妙に真剣な声に、ぴたりと身体が止まった。
振り向いてはいけないような気がして、そのまま何かを待っていると、ベッドについた手にジョットの手が重なった。

「無事に帰ってきてくれ、自分の足で、俺の元に」

切羽詰まったような声と、きつく握り締められた手。
何を不安に思っているのかは知らないが、言われるまでもない。
この組織を結成して初めての遠征、だからだろうか。

「ふん、俺がしくじるわけねーだろ」

鈍い痛みの残る身体を持ち上げ、風呂に向かった。




まぶしいくらいの太陽の光。
少数精鋭での殲滅任務。
この広い町を占拠し、暴力で統治する地主を殺すこと。
ここの地主は気持ちの悪い噂しか聞かない。

「正面突破は無理そうですね」

数十名の部下のうち、信頼する部下が地図を広げた。
広い城の地図、その入り口には、衛兵が立ち、それは侵入を防ぐためではなく速やかに中の味方を呼ぶために配置されたもの。

「隊長、ここの城主の噂は聞きましたか?」

右隣に立つ銃器を持つ部下が嫌そうな表情をする。
裏の世界では有名な噂だ。
町でも何人かの人間が行方不明になっている。
それも、あたりでも有名なくらいに顔の整った者ばかり、男女問わずに。

「ああ、死体愛好家だろ」

この時代にはたまに聞く話だ。
それが権力を持ってしまっているからまた始末に終えない。

「容姿に自信のあるやつは気をつけろよ」

薄く笑って部下たちを振り返ると、軽く笑いが聞こえる。
人数が少ないのだから、別れるのは得策ではない。
数人をおとりにして一気に制圧するのが現実的か。

「城主を討てばチェックメイトだ。お前たちは中に侵入することだけを考えろ」

機動力と腕に覚えがあり、俺もその点では信頼を置く五人を選ぶ。
俺を含めた六人で正面突破、他の連中は別の場所から突破する。

「隊長も城主に気に入られないように気をつけてくださいよ!」

肩を痛いくらい掴み、妙に真剣な顔で言ってくる。
ガクガクと揺さぶられて頭がくらくらする。
前日にジョットに好き勝手されたせいで体調は最悪だ。
揺さぶってくる部下の頭をグーで一発どつき、すぐに突入体制をとらせる。

「いいか、脱出経路は作っておけよ、少しでもヤバいと感じたら出直しだ」

部下を失うことを、ジョットは一番恐れている。
その意思を甘いとは思うが、嫌いではない。
五人を連れて城の前へ向かう。
グ、と握り締めた右手につけたジョットから譲り受けた指輪。
赤い石のはめ込まれた指輪から巨大な赤い炎が出現した。

「いつ見ても綺麗な炎ですね」
「ふん、見納めかもしんねーぜ、しっかり見とけよ」

死なせる気はない。
ズキ、と痛んだ腰を知らないふりして、空に向かって拳銃を放った。
赤い炎を纏った弾が雲を突き抜けた。

「親玉出しな、てめーらをボンゴレの名の元に俺が粛清する」

慌てて槍を構えた男たちを嘲笑し、銃口を向けた。
大きな音が鳴り、中から大量の兵が出てきた。
バタバタと足音が鳴り、周りを囲われる。
銃を下ろし、周りを見渡す。

「ふ、量だけは立派だな。だが質も伴ってねぇと意味ねぇぜ」

左手に持ったジョットから譲り受けた弓を握った。
拳銃を仕舞い、右手の炎で矢を燃やした。
いびつな弓を城へ向け、派手にはためく旗へ向けた。
赤い炎が旗を打ち抜くのと同時に、雄たけびが響き渡った。
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