前サイト一万HIT小説

□ボス対右腕!結果は右腕の勝ち!
1ページ/2ページ

同盟ファミリーのボスが集まり、信頼する部下が隣に並んでいる。
以前から対立していたファミリーとの話し合いの場をこじつけ、ボンゴレが筆頭で話をしている。
ボンゴレ十代目の右側に立ち、必要な書類を持つ。
すぐ隣には同盟の中でも大きな勢力を持つキャバッローネのディーノ。

「こちらの条件は以上です」

説明を終え、持っていた書類を下げる。
向かい合って座っている敵対ファミリーのボスに目を向ける。
隣に立つ女がちょくちょく十代目に色目を使っているのが分かって、カチンとくる。

「ボンゴレ十代目はずいぶん優秀な右腕がついているようで、羨ましいかぎりです」

嫌味な笑みを浮かべる向こうのボス。
十代目が日本人で、少し幼いイメージが払拭できないのは仕方がない。
しかし、それが原因でどうやらこのメタボった癇に障る男は十代目を下に見ているようだ。
失礼極まりないし、俺はこんな話し合いの場など無意味だと思ったのだが。
お優しい十代目は話し合いで解決できるものなら、とこの場を持たれたのだ。

「ええ、彼は俺の一番信頼する、最初のファミリーですから」

少しこちらに視線を投げかけられて、ニコリと微笑む十代目に、笑顔を返す。
隣のディーノも小さく笑った。
その時、ざわりとした悪寒を感じて目線だけで前を見た。
この場に入ったときから感じていたが、俺はどうやら向こうのボスに気に入られているらしい。
正直気持ち悪い限りだが。

「ではこちらの条件は全て一覧にいたしましたので」

男の隣に立っていた女が靴音を立てながら十代目に近づく。
どう見てもそれ用に用意されたであろう女、無意識に睨むような視線になる。
びく、と怯えたように肩を揺らした。
目を瞑って、少しの辛抱だと思い、前を向き直ったときだった。

「・・・・っっ!?」

気のせいではない。
さわさわと俺の腰から尻辺りを撫で回す手がある。
ちら、と目線を下げると、その手は十代目の腕に繋がっている。
何をしているのか、という意を込めて十代目を見ても、本人はこちらを向いてニッコリ笑うだけだ。
すぐに腕を掴んで離させようとするが、最強のヒットマンに鍛えられた腕力は動かない。
いくら中距離支援でも、俺だって別に力が弱いわけではないのに。

「・・く、この・・・・っっ」

小声で気合を入れても動かない。
まるで気にならないように動き回る。
その声に気付いたディーノがこちらを向く。
ディーノの位置からはそれが丸見えなので、ガタ、と音を立てて目が出るんじゃないかってくらい驚いているのが分かった。
すぐに二人がかりで離させようとするが、どんなバカ力なのか動かない。

「どうかしましたかな?キャバッローネ十代目」
「い、いや・・なんでもないぜ」

書類を持っているせいで両手を使えないことも大きい。
そして更に調子に乗った手の動きは、奥のほうにまで伸びてくる。
足の間に滑り込んでくる手が、的確に弱い部分を刺激する。

「・・ふっ、ん・・っっ」

顔が上気するのが分かる。
ぞくぞくとした快感が這い上がり、それと同時に前方からの不快な視線に寒気がする。
このままでは末代までの恥だ、そう思い、最終手段に出る。
赤のボンゴレリングに火を灯し、すばやく匣を開匣し、弓を取り出して攻撃した。

「いい加減にしろおおおおおおおおおおお!!!」

赤い巨大な矢が机を粉々につぶし、煙を立てながら壁と床を破壊した。
十代目も同じくすばやく匣を開けて、黒いマントを身に着けていた。

「あはは、ごめんごめん」

反省の色の見えないへらへらとした笑いに、すぐにC.A.Iの晴れの匣を開匣する。
それをセットして弓を放つと、黄色の炎を纏ういくつもの矢が不規則な加速で十代目を襲う。
が、マントを軽く振ることで爆発と共に相殺された。

「今日という今日は逃がしませんよ十代目」

にっこり笑って言うと、十代目も死ぬ気丸を飲み、炎が上がった。
鋭い瞳で、薄く微笑んだ十代目が炎を噴射し、部屋の外へ逃げた。

「逃がすかっ」

赤い移動用匣を開き、足元に出来た炎の輪がすばやく移動させた。
ちょこまかと移動する黒い影に向かって、雲の弾丸をセットして矢を放つ。
不規則な増殖を繰り返して壁を破壊していく矢が十代目を捕らえる。
爆発とともに、煙の上がる黒い塊が廊下に落ちた。

「本気だな、獄寺」
「ええ、それほどでも」

ニコリと笑いあって、一番強力な雷の弾丸を込め、弓を構えた。
バチバチと火花の散る弓が力を溜める。
十代目も右拳に力を込め、マントになっていたナッツが拳に形を変えた。
火花がいっそう高まり、矢が発射される。
近づくのと同時に、拳でその矢を殴りつけた。

「・・・あいつら、アジト壊す気なのか・・・」

ディーノは会議室から顔をのぞかせながらため息をついた。

「げほっ・・・また逃げましたね・・・」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ