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□変です十代目!
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「あ、獄寺さん、ボスから獄寺さんにと」

廊下を歩いていたら、急に部下に話しかけられた。
手渡された二つ折りの紙を開き、書いてある言葉を見ると、身体が固まるのが分かった。
ニヤつく顔を抑えきれないらしい部下をギロリと睨む。
びくっと肩を揺らしてそそくさと通り過ぎていった。

『愛する獄寺君へ、獄寺君不足なのでそろそろ俺のところに来てください』

イタリア語でそう書かれた紙をぐしゃ、と握り締める。
この様子だと、部下たちに適当にこんな内容の紙をばら撒いているようだ。
全身の温度が急激に上がるのを感じた。
そして全速力で執務室へ向かうことにする。
これ以上こんな内容の手紙をばら撒かれたら身の破滅だ。

「十代目えええええ!!」

バーンと扉を開ければ、そこにはペンを持った十代目がいた。
や、と軽く振る手に握られている紙は、追加で製作されたであろう手紙だ。
早足で目の前まで行き、紙を広げて突きつけた。

「これはどーいうことですか!」

頬が熱くてカッコつかないと思いながらも問いたださずにはいられなかった。
ニコニコと笑顔を絶やさないままペンを置いた。

「ああそれ?獄寺君に会いたいなぁと思って通りかかった人全員に渡してるんだ」

信じられない!
話によれば十枚や二十枚ではなく、もうかなりの枚数ばら撒いたあとだったらしい。
どうすればいい?もうこのアジトを歩けない。
恥ずかしすぎて滅びる。
急に力が抜けてその場に膝を突いた。
こんな手紙がアジト中に・・・。

「もー俺獄寺君に三時間と二十三分会ってなかったからさぁ、やる気起きなくって」

すぐに立ち上がった十代目は床にへたり込んだ俺に飛びついてきた。
頭をぎゅーっと抱きしめられて、俺は放心状態から覚めた。

「と、とにかく!こんなことは今日限りにしてください!」
「ええ?なんで」

腕をほどいて顔を上げると、十代目は不服そうな顔をした。
不服なのは俺ですよ!
こんな手紙内容が部下だけじゃなく、骸や雲雀に知られたら今日から三ヶ月はこのことでからかわれそうだ。
そんなことになったら、もう生きていけない!

「だってさぁ、獄寺君は俺のモノっていう証明?っていうか牽制?みたいな」

頭をすりすりと頬擦りされる感触に言葉を失った。
なんというか、十代目がおかしい・・・。
なんか壊れてる。

「あーもう可愛いなぁ獄寺君、ホントやばい、なんかいい匂いするし」

身体中をさする手がなんだかあやしい動きをしている。
というかなんかイヤらしい。
どうしよう、右腕としてボスが間違った方向へ行くのをみすみす許していいのか。
いやよくない(反語)
とりあえず随分と逞しくなった胸板を押し返して立ち上がった。

「何か用事があったんじゃないんですか?回りくどいやり方ですが・・・」
「え?ああ、もういいんだよ、ただ獄寺君とイチャイチャしたかっただけだから」

十代目も立ち上がり、満面の笑みでそう言った。
なんだか気が遠くなる気がする。
頭が痛い、しかもものすごく。
現実逃避している俺は血の気が引いているのに身体が熱い。
固まってる間に十代目はまた俺の身体を抱きしめた。

「ねぇ、俺の今日の分の仕事あらかた終わったからさ、今からデートしようよ」
「でっ・・・っ、て、その前にこの手をどけてください・・・っ」

尻を撫で回す手を鷲掴みにして離そうとするが、異常なバカ力で離れない。
ぐぐぐ、と十代目との変な対決に真剣になる。
十代目も意地になって力を強める。

「いい加減にしてくださいぃいいっ」
「ちょっとくらいいいじゃんんんっ」

ちょっとじゃないだろう!?

「えいっ」
「あ、なにをっ」

視界が反転して、十代目の向こうに天井が見える。
それと後頭部に鈍い痛みと背中に感触に押し倒されたのだと分かった。

「じゃぁデートは諦めるよ、イチャイチャしよう?」

なんでそうなる!?
どうせならそっちを諦めてほしかった!
別にデートはいやじゃ、ないのに・・・。

「久しぶりだし、気持ちよくしてあげるよ!」

もっとこう、ムードというものがあるだろうが!
十代目はなんか最近変だ!
目の奥がツンと痛くなり、超上機嫌な十代目が歪んだ。
そしてなにが一番悲しいかって、そんな十代目も嫌じゃない自分がいることだ。

「大好きだよ、獄寺君」

ああ、流される。



なんだこれは@w@
とりあえず一つ。
変な十代目ってすごく書きやすい。
ということで『ツナが獄を好きすぎて暴走している話』でした!
暴走の方向が間違っている気がします!
しばらくごっきゅんはアジトであらゆる視線を感じることになります。
羨望だったりひやかしだったり嫉妬だったり欲情だったり←
ひとまず言わせてください。
ごめんなさい!!
るぅと様、リクエストありがとうございました^^

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