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□変態だっていいじゃない
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さらさらと揺れる銀色の短めの髪。
その髪からちらちらと見えるピアスの付けられた耳。
ぴっちりと身体にあったスーツは細くてバランスのいい身体のラインによく似合っている。
少し向こうで食器の音を立てながらコーヒーを淹れているのは、ボンゴレ十代目嵐の守護者にして、右腕。
容姿端麗、頭脳明晰、ボンゴレでの戦闘力はトップクラスという非の打ち所もない右腕だ。
やっぱり俺の隼人はエロいよなぁとか思いつつ一人で深く頷いていると、どこからか伸びてきた手に右頬を引っ張られた。

「先ほどから不快な視線を感じます、いい加減にしてください」

その当の右腕が青筋を浮かべてコーヒー片手に力いっぱい抓っていた。
むにー、とどこまでも伸びそうな頬を離すと、綱吉はそこをさすった。
こと、と置かれたコーヒーは湯気を立てていい匂いを放っている。

「いいじゃん、俺と隼人の仲でしょ?」
「どんな仲ですか」

コーヒーをすすり、隼人の腕を引っ張る。
すばやくカップを戻し、倒れてきた身体を支えて唇を合わせた。

「こういう」

にっこりと笑ってそういうと、隼人はすぐに口を拭って綱吉の顔を押し返した。
ちら、と見えた赤い顔に頬が緩んだ。

「ねー今日一緒に風呂入ろうよ」

そういいながら机に突っ伏すと、隼人は疑わしそうな表情で睨んできた。
失礼な、ただ入りたいだけだ。
そりゃぁ、下心は本当にないかと聞かれたら少し考え込むんだけど。
いやまぁ下心満載ですよ。
だって恋って下心あってこその恋でしょ、漢字が全てを表してるよ。

「お断りします」

この十年でこの親友兼恋人はずいぶんと冷たくなってしまったらしい。
隼人の尻を触ろうとした手は先ほどの倍の力で抓られ、赤いあとが残った。
失礼します、と踵を返して部屋を出て行ってしまった。
コーヒーを傾け、苦味のあるそれを飲み干したあと、綱吉は立ち上がった。



執務室を出て、正面の部屋が綱吉の部屋だ。
そこから左手にある扉。
それが隼人の部屋。
守護者にあてがわれた部屋は、骸と雲雀以外はここに並んでいる。
扉に耳を当てるが、中から音はしない。
そーっと開けてみると、鍵はかかっていないようだ。
物の少ない部屋はがらんとしていて、もしかして隼人はいないのかとも思ったが、鍵をかけ忘れるようなことをするほど抜けていない。
そして、ベッドの上に置かれたスーツの上着とネクタイに少し期待が湧き上がってくる。
脱衣所に向かい、音を立てないように慎重に数センチ隙間を開ける。
と、そこにはズボンとシャツだけを着た隼人がいた。

(やば、俺グッドタイミング!隼人今から風呂に入る気だ)

グッ、と拳を握り締めて息を殺しつつ中を見る。
いやこれはノゾキじゃないから、ただの人間観察だから。
心の中で誰に言い訳するでもなくそう結論付けた。
白いシャツのボタンを上から順番に外していく。
シャツにも劣らない白い肌がちらちら見えるが、綱吉から見れば横向きなのでよく見えない。

(あああこっち向いてくれ!そして出来ればちょっとエロい感じに前かがみに・・・)

とか考える自分が前かがみなのだが。
その時隼人は妙な寒気を感じた。
するりときめ細かい肌をシャツが滑る。
脱衣所の籠にシャツを投げ、ズボンのベルトを外した。
プシュ、という何かが破裂する音が聞こえた気がして周りをキョロキョロと見渡した。

(や、やばいやばい落ち着け俺!)

顔を覆った手からダラダラと赤い液体を垂らしながらニヤける顔を抑えられないのだった。
別に裸を見るのが始めてなんじゃない、むしろ十年前から幾度と無く見ている。
だが自分から脱ぐのを見るのは本当に久しぶりだ。
体育もサボっていたし。
黒いズボンから白い足が現れるのは異常に扇情的だ。
その調子で隼人が脱いでいく様を視姦し続けたボンゴレ十代目だった。

(至福!)

カチャ、と風呂場に入っていくところまで見届けて今一度ガッツポーズを作った。
一度ベッドルームに戻り、置いてあるティッシュで赤い物体を拭いた。
最低限必要なものとして置いてあるだけなのだが、どことなく隼人の寝室にティッシュが置いてあるのは厭らしい気がする。
脳内メモリーに記憶した隼人の脱衣シーンを反復しながらもう一度脱衣所に向かった。
音を立てないように入り、綱吉も服を脱いだ。
ぼんやりと見えるシルエットとシャワーの音に興奮が冷めない。
と、シャワーの音が止まり、パシャパシャという水音が聞こえた。

(浴槽に入ったのかな)

ドッキリっぽく驚かせてやろう、と考えた綱吉は人の悪そうな笑みを浮かべる。
扉に手をかけ、心の中で数を数える。

(1、2の・・3!!)

ばーんと開かれた扉は冷たい空気をまとって開かれた。
そのまま中に飛び込んで行き、浴槽を向いた。

「じゃじゃーん!やっほー隼人」
「ふあああ!!??な、な、十代目!?」

バシャア!と水を跳ねさせながら満足のいく驚きを見せてくれた。
水に浸かった隼人を改めて見ると、綱吉は熱が上昇していくのを感じた。
湯気のせいでよく見えないのがまた萌えるのだ。
熱い湯で暖められた体がうっすらピンク色で、頬も上気している。
その顔に銀色の髪がはりついている様はすごく卑猥だ。

「へ、変態ですかあなたは!」

隼人が下のほうへ視線を投げた瞬間、さらに顔を赤くさせてそう叫んだ。
扉を閉めて綱吉も浴槽に足を突っ込んだ。

「な、ちょ、はっ入らないでください!狭いです!」
「俺は気にしないよ、隼人とくっついてられるし」
「俺が気にするんです!」

ぐいぐいと押し返してくる手を無視して、隼人の後ろのスペースに入り込んだ。
お湯が勢いつけてあふれ出していく。
お湯のせいで少しぬめっている感覚が全身に感じ、隼人の肌がいやらしく感じた。
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