REBORN!

□安心しろよ
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「ジョット、鬱陶しいでござるよ」

和紙を重ねた書物を読みふける雨月が、部屋をうろうろと忙しなく動き回るジョットに言った。
ひらひらと長いマントをはためかせながら歩くのは非常に目障りだ。
雨月の言葉にジョットはもちろんすぐに反応した。

「なぜだ!」

叫ぶジョットに雨月は息を吐き、書物を机に置いた。
その部屋は簡易に宛がわれたもので、ジョットと雨月に与えられた部屋だった。

「なにがなぜなのでござるか」
「なぜ俺がGと違う部屋なんだ」

雨月は今度は深いため息を吐いた。
イライラと動き回るジョットは、どうやら部屋割りに文句があるらしい。
そもそもこうなった原因は。

「ジョットが仕事をサボるからでござろう」

そう、それにキレたGが逃げ出したジョットを追いかけて大暴れしたのだ。
仕方なくランポウの別荘に仮住まいしている。
その際、部屋割りを二人ずつで分けたのだ。
ジョットと雨月、ナックルとD・スペード、そしてGとアラウディ。
厳正なくじ引きの結果である。
なお、超直感を持つジョットは念のために一番最初に引かせておいた。

「くそう・・・アラウディめ、俺のGに何かしようものなら・・・」

爪を噛んでGたちの部屋のある方向を睨みつけている。
雨月はやれやれと首を横に振った。

「何があるというでござるか」

ファミリーを率いるゆえに外部組織であるアラウディやスペードと比較的共にいる時間の少ないジョットと違い、誰にでも分け隔てなく時間を費やしてきた雨月には特別危険があるようには思えなかった。
ましてやGとアラウディは殺伐としているようで実は結構馬が合うらしく仲がいい。

「戦闘狂のアラウディだぞ!?襲われるかもしれんではないか!」
「そんなことはありえないでござるよ、あの二人は結構仲がいいでござる」

馬鹿馬鹿しいと思いながら湯気の立つ煎茶をずず、と飲んだ。
ジョットは幼馴染であるGを好きすぎる。
確かにジョットを一番理解するのはGだし、その逆もまた然りだ。
それは誰もが認めているし知っている。
かといって過保護を認めるかといえばそれはまた全く別の話だ。

「なんなら見に行ってみるでござるか?」

今度は壁に張り付いて隣の音を聞こうとして、一種のストーカーになりつつあるジョットに提案してみた。
勢い良く首を縦に振るのに呆れざるを得ない。
部屋には大きな窓があり、ベランダに通じている。
カーテンや壁に隠れれば中の様子を盗み見ることも出来るだろう。

「あんまり気は進まないでござるが・・・」

他人の生活を覗き見る趣味は雨月にはないのだ。
だがジョットは異様に乗り気だった。
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