REBORN!

□愛はあるんです
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「くそ・・疲れた・・・」

真っ暗な廊下を金色が歩く。
普段は滅多に疲労を顔に出さないのだが、今日は全身の倦怠感が酷い。
何故かと言えば、全て一人の男がいなかったせいだと言える。
いや、まぁ休みを与えたのは自分なので文句を言えた義理ではないのだが。

「デーモンやアラウディの自由奔放ぶりもそうだが・・・書類の量も耐え難い」

時計を見れば、もう短針が右側へ寄っていた。
深夜の三時。

「G・・・寝ているだろうな」

こんな時間だ。
それにGならジョットが気を使って作った休日を無駄には過ごさないだろう。
しっかり身体を休めようとするはずだ。
優秀ゆえにあまり目立たないが、Gはジョットのこなすべき仕事までもこなしている。
もともと要領がよかったが、さすがにこの年になってもまだ女房役に仕事をしてもらっているのは情けない。
ジョットはそう考えていたのだが・・・。

「会議すらまともに出来ないとは・・情けない・・・」

重い足取りでアジト内に設置されている自室の前に立った。

「・・・ん?」

明かりが漏れている。
消し忘れたのか。
いやいやそんなことはないだろう、今日は一度も明かりを点けていないのだから。

「まさか・・・」

おそるおそる扉を開けると、やはり鍵はかかっていない。
半分期待、半分疑念で覗き込むと・・・。

「よ、おかえり」

そこには紅茶を飲んでリラックスするGの姿があった。
赤い髪を一つにまとめて、白いシャツに黒いズボン。
近頃はあまり見ない、素に戻ったGだ。

「ど、どうしたんだ?寝ていたんじゃないのか?」
「どうもこうも、ダメジョットが急に俺に休めとか言い出すからどうせ今日はぐったりして帰ってくるだろうと思ってな」

図星だ。
Gは見事に言い当てると、ジョットのマントとスーツを剥ぎ取って背中を押した。

「風呂にでも入って来いよ。湯張ってあるから」
「あ、ああ・・・」

未だ状況は飲み込めないものの、入れというのだし遠慮なく入ることにする。
風呂場の扉を開ければ、暖かい湯気が視界を覆った。
身体を洗って湯船に浸かりながらジョットは首を傾げた。
Gがジョットのために身の回りの世話をするとは。
もちろん頼めばコーヒーを淹れてくれるしご飯だって作ってくれるが。
自主的には滅多にしない。
理由はもちろんめんどくさいからだ。
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