綱獄

□メリークリスマス!
1ページ/2ページ

発端編。



「あの、ジョットさん」

初代ファミリーの残した因縁渦巻くシモンファミリーとの戦いから五年。
中学を卒業し、高校も卒業。
今やボンゴレファミリーでの綱吉派も大所帯だ。
だが、綱吉的には全く進展しない悩みの種があるのだった。

「どうした綱吉」

シモンとの一件以来、度々遊びにくるようになった初代ファミリー。
その中でもジョットとGはよい相談相手だった。

「・・例の、ことなんですけど」

丸いテーブルに向かい合ってババ抜きをするジョットとGは、神妙な様子の綱吉に目を向けた。
二人でババ抜きやって面白いのかとか、最近ずいぶんとトランプにハマってるなとか、その辺には目を瞑る。
例のことという言い方で、ジョットの表情も引き締まる。

「・・・」

向かいにいたGが、ボスの真剣な空気を読み取って手に持っていたカードを裏向きに机に伏せた。
しかしずいぶんと一方的なゲームだったようだ。
二人とも無表情だがジョットの手札はあからさまに多いが、Gは残り二枚だ。
つーかどんだけ弱いんだ。

「ああ、気にするな。万事抜かりはない。俺に全て任せておけ」

無表情のまま小さくうなずくジョットに、緊張が解ける。
意外とずぼらなところが目立つジョットだが、信頼が置けるのも確かだ。
綱吉は息をついて頭を下げた。

「じゃぁ、よろしくお願いします」

獄寺にもらったタバコに火をつけていたGがジョットの手から一枚カードを引く。
これで残りは一枚だ。

「綱吉もボスっぽくなってきたよなぁ」

しかしどうやったら四枚も同じ数字があるのにピンポイントで外せるんだ?
二人ババ抜きではありえない奇跡の手持ちの数に、Gは感嘆した。
ひょっとしてルール分かってなくて揃ってるのに持ってるんじゃないだろうな。

「・・・なぁ、G」

綱吉の出て行った扉を神妙な表情で見つめていたジョットが、Gに振り向く。
ジョットが残りの一枚を取るのを待っていたGは、真剣なジョットに目を合わせる。

「今から、ほんの少しだけ、無粋なことを聞くぞ」

自嘲の表情を浮かべるジョットにため息をつく。
つけたばかりの長いタバコをもみ消して、机に肘を預ける。

「お前が事前にそんなことを言えるようになるとは思わなかったぜ」

手持ちのカードを机に置き、Gの手を握り締める。

「例のことって、なんのことだろう?」
「無粋の塊だろうが」

握り締めた手を振り払って、残っていたエースのトランプを顔面に叩き付けた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ