いただき物

□気になる君の秘密
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最近、気になることがある。
どうでも良いような感じの疑問だったりするけど、やっぱりどうしても気になる。

それは、獄寺君のバイト先。



***



ベランダから入り込んでくる心地好い風によって瞼が重くなってくる。穏やかな授業中に隣の席から小さな便箋が回ってきた。視線でどこからかと尋ねると山本に人差し指を指した。山本は視線に気付いたらしく、振り向いてニコッと微笑んできた。とりあえず文章を心の中で読んでみる。

『今日部活ないんだけどさ、ツナが何も予定なければどっか遊びに行こうぜ?あ、獄寺抜きでな』

獄寺君抜きで?あ、そういえば先週あたりから新しいバイト先が見つかって忙しいからなかなか会えないとかって言っていたような気がする。俺はそっちのクエスト(獄寺のバイト先を見付ける)を優先させなくてはならないのだが、今日は無理にストーキングしなくても良いかと思って隣の席の子に手紙を回すように頼んだ。



***



「着いたぜ」
「(あ〜あ、ついに着ちゃったよ)」

山本が獄寺君抜きで遊びに行こうと言っていたのは、並盛商店街にある"メイドカフェ"だった。山本がこんなことしてるだなんてヒバリさんに知られたら…いや、できるだけ想像しないようにする。俺も獄寺君に見つかったら何をされるかわからないからとても怖い。



***



カフェに着くと、山本が適当に一人の女の子を指名してくれた。俺達は席に着いて指名した子が来るのを待っていた。

「ツナは絶対に驚くと思うぜ?」
「え?意味がわからない…」

しばらくして目の前にご指名頂きありがとうございます、と指名したメイドが頭を下げていた。あれ、なんか誰かに似ているような気が…。

「も、もしかして…獄寺君!?」

その声に反応してガバッと顔を上げたのは、正真正銘俺の右腕の獄寺君だった。かああ、と赤くなった顔と羞恥で潤んだ目は俺の理性に大きなダメージを与える。それにしても、何で彼がこんなところでバイトをしていたのだろうか。その理由はというと、守護者や俺と親しい人達に「10代目を喜ばせるには何をしたら右腕として今まで以上に認めてくれると思う?」と聞いたらしい。その結果は「年上からの上納をやめてバイトに専念してみるとか、1番メイドカフェが向いていると思う」という声が八割近く上がったらしい。メイドとして働いてくれるのは嬉しいけど、そんな可愛い姿を大勢の男達に見せ付けている君を許せないという気持ちのほうが今は強い。

「へぇ…ここでバイトしてたんだ、獄寺君?(黒笑)」
「あっ、は、はい」
「「(なぜに黒ツナ発動!?)」」

俺は意地悪そうにケタケタと笑ってみせた。

「おいで、可愛がってあげるよ」

獄寺は表情を引き攣らせながらも懸命に笑顔を作り、夜までツナに弄ばれるのを覚悟してツナの正面の席についた。
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