デュラララ!!

□来神高校朝の一コマ
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あいにくの雨模様。
傘にぶつかる雨音がなんとなく心地いい。
静雄は朝早くに来神高校へと登校しながら静かな雨の雰囲気を存分に味わっていた。
早朝ゆえに、周りには誰もいない。
よってケンカを売られることもなく、至って平和だ。
こんなときはこれが一日中続けばいいのにと考える。
だが、そう考えた途端、それをぶち壊す人間が走ってきた。

「静雄ー!」

息を乱しながら走ってきたのは、めがねをかけた幼馴染である岸谷新羅。
静雄が常日頃うざく、さらにうざく、絶望的なほどうざいと思っている折原臨也。
そのうざい男とほぼ同等くらいに騒がしいこの男は、静雄にとっては唯一とも言える友人の一人だった。
それを考えると、静雄が新羅を友人と認めて、さらに極力酷い暴力をふるわないでいられるのが不思議だ。
性質的には静雄の嫌う理屈をこねる人間なのに。

「後ろ姿が見えたからさぁ。それにしても君は早起きだね?いつもこんな時間に登校しているのかい?俺が登校すると君はもうすでに教室の、君に宛がわれた机に着席しているし、きっと毎日なんだね。臨也はきっともっと遅いんだろうね。ってことは僕が登校するとたいてい始まっている君と臨也のケンカも朝のこの時間にはないってことかい?ああもしそうなら残念至極!僕は何度君とゆっくり話せる機会を失ったんだろう!でもね、残念ながらこれからもそれは続くんだよ!だってセルティのすばらしい朝ごはんを食べなくちゃいけないからね!」
「・・・うるせぇ」

朝っぱらからべらべらとよく喋るやつだ。
静雄の静かな雨模様にモンスーンがやってきたようだ。
自分がこの口やかましい新羅と行動を共にするのは、一重に彼の性格による。
くだらないことを延々と喋られるのは正直うっとうしいが、静雄を恐れずに普通に接してくれるのは今のところ新羅くらいだ。
畏敬であれ畏怖であれ、何かしらの感情も抱かずに喋れる新羅には安心すら覚える。

「まったく君たちはいつも飽きないよね!この間担任の先生が胃薬と頭痛薬を飲んでいるのを見たよ!飲みすぎて腎盂腎炎にならないといいけど。なんなら率先垂範、俺を見習ったらどうだい?来神始まって以来の優等生である僕をね!」

よくもありもしないことがこうも次々と口から出てくるものだと静雄は感心した。
岸谷新羅といえば、稀代の変態で有名だ。
新羅に告白した女生徒が、こいつに返された言葉。
それはもうほとんど静雄の次くらいの伝説だ。

『首を切り落としてきてくれたら考えてもいいよ』

これは普通の人が聞けば、つまりは酷い振り方のように思える。
お前なんかと付き合うなんてありえないよ死んで?
要約するとこうなる。
だが事実は異なった。
静雄も最近知った事実である、新羅の同居人の秘密。
僕の愛しい首なしライダーと同等の存在になれば君を愛する可能性があるのかもしれないよ?
真実はこちらなのだ。

「ところで最近はどう?臨也のやつを一発殴れたかな?君のことだからきっと毎日不撓不屈の精神で追いかけ続けているんだろう?俺も臨也は一回くらい静雄のビンタを受けるべきだと思うよ!いっそのこと獅子崎先輩に頼んで羽交い絞めにしてもらったらどうだい?それで殴られればきっと臨也も少しは懲りるんじゃないかなぁ」
「新羅くんよぉ、そろそろあのノミ蟲野郎の話を終わらねぇとてめぇを羽交い絞めにすんぞ」
「すいませんでした!」
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