デュラララ!!

□津軽との出会い
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「マスターーーーー!マスターマスターマスターマスターマス」
「うるさい」

バターンと扉を開ける音と共にバタバタという足音。
さらに似たような声でハイテンションに臨也を呼ぶ声。
白い物体が椅子に座ってパソコンを弄っていた臨也の背中に覆いかぶさった。

「重いんだけど」

背中にしがみつく子供と、臨也の顔は瓜二つだ。
白いフードを掴み上げ、ソファまで運んでポイと投げ捨てた。

「臨也くんひどーい」

ふわふわの黒いソファにふて腐れたようにうつ伏せる。

「おかえりサイケ。ところで俺はお使いを頼んだはずなんだけど、トイレットペーパーは?」
「マスター!俺ね、なんか拾った!」

サイケは基本話を聞かないらしい。
白いヘッドホンから出る蛍光色のコード。
長いコードの先にはゴト、と重い何かが巻き付いていた。

「何これ」

寝転がっていたものからコードを解き、起き上がらせる。
青と白のコントラスト。
金色の髪、白い肌。
随分と古風な服装のそれは、触れるととても冷たい。

「なんかねー、路地裏に落ちてた」
「せめて何か分かるもの拾ってきてくれるかな」

しかもこの見た目。
分かっていて拾ってきたのだろうか、このガキは。

「ね、えらい?俺えらい?マスターの好きなシズちゃんそっくり!褒めて褒め・・だっ!!」

周りで飛び跳ねるサイケの脳天に拳骨を落とす。
別に隠してるわけでもなければ否定する気もないけど、堂々と言われるとなんともいえない気まずさがある。
素敵で無敵な情報屋さんで通っている折原臨也が、天敵である平和島静雄に片思いなんて。

「臨也くんなんか暴力的ー」

頭をさすってソファに寝転がる。
倒れている人型のそれは、平和島静雄に瓜二つだ。
こんなものの存在は臨也ですら知らないのだが、どうせサイケと似たような経緯で出来上がったものだろうと当たりをつける。

「・・・似てる」

見れば見るほど似ている。
サイケも相当そっくりだが、こっちもほぼ同じ顔つき。
だがこの肌の冷たさはなんだ、サイケにはちゃんと体温があるのに。
臨也は静雄に瓜二つのそれを起こし、服に手をかけた。
これは検査だ。
いくら臨也とて、見ただけでそれがなんなのか、なぜ起きないのかまでは分からない。
決していやらしい目的では・・・。
誰に言うでもなく弁解してみるのだった。

「マスター、息荒いよ」

ソファの背もたれからのぞくサイケがじとっとした目をしていた。
顔に熱がたまっていたし、一度大きく深呼吸をする。
青と白の着物を左右にずらすと、簡単に肩が見えた。

「なんか冷たいよねー、俺とは違うみたい」

サイケの瞳にあるモニターが静雄のそっくりさんを移すも、どうやらサイケの知る型ではないらしい。
臨也は、目の前にある冷たい肩を撫でると目を細める。

「脱がすのー?オナるのー?」

もたれ掛かるサイケの頬を力いっぱい引っ張った。

「これは多分サイケの前に作られたやつだよ」
「俺の前?」

赤く腫れた頬をさすりながら涙目のサイケが静雄モデルの身体を支える。
着物をずらせば、背中に不自然な溝があった。

「サイケは最新技術を施されたハッキング用バイオロイド」
「うわー開いた」

溝にマイナスドライバーを入れて開かせると、暗いモニターが現れた。
蓋の裏側にコードネームが掘り込まれている。
"SingingAndroid−TSUGARU.K"
直訳すれば歌う人造人間。

「・・・アンドロイドの津軽」
「あんど?」

津軽の身体を倒し、上半身をあらわにさせる。
左のわき腹に赤いボタンがあった。

「男性の人造人間のことだよ。サイケは人間に忠実に作られて、生理現象まで何もかも作られた有機人造人間」
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