デュラララ!!

□夜中にシズちゃんが来たよ
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臨也は悩んでいた。
なぜなら今までこんな状況に陥ったことがなかったから。
危ない目には日常のようにあって来たが、こんな状況は前例がなかった。

「ん・・ねむぃ・・・」

その状況というのは、臨也の部屋にある、一人で寝るには異様にでかいベッド。
そこに臨也が横たわるのはなんの異常でもない。
だが横たわる臨也に誰かが抱きついているとなれば話は別だ。
しかもそれが天敵である平和島静雄ならなおさらに。

「あのシズちゃ・・く、苦しいです」

首に巻きつけた腕は、いつもなら巨大で重いものを持ち上げる脅威がある。
そしてその脅威が今まさに臨也の首に。

「これはヤバい。俺今日死ぬのかな」

つーか酒臭いんですけど。
静雄はどうやら相当に酔っているようだ。
目の前の顔を見ればすぐに分かるのだが、ビールが飲めないくせに飲み会にでも参加したのだろうか。
息、熱いし、顔赤いし、気持ちよさそうだし、いつもみたいに眉間に皺もないし。
なんか、色っぽいし。

「いやナイよ。相手シズちゃんだし、何考えてるんだ俺」
「ごちゃごちゃうるせぇ」

金髪が急接近したかと思えば、口元に頭突きされた。
妙な叫び声が上がったのは相手が静雄ということを考えれば仕方ない。
歯、折れるかと思った・・・。

「おい臨也」

ズキズキ痛む口元を押さえながらもだえていれば、胸元から見上げる静雄が声を上げる。
上手く喋れないのだから滑舌が悪いのには目を瞑ってほしい。

「らに(なに)・・・」
「喉が渇いた」
「あっそ」

そっけなく答えた瞬間、臨也の身体が急激に圧迫された。
首に回っていた腕をわきの下に入れて、力いっぱい抱きしめたのだ。
内臓を吐くと感じた瞬間臨也はSOSを出した。

「ごめん!ごめんごめん!すいませんでした!」
「この俺が喉渇いたっつってんだろうが」

顔をうずめたままくぐもった声を出す。
声が響いてなんだかくすぐったい。

「シズちゃ・・・いや、静雄様、何が飲みたいの」

未だ自分の命が静雄に握られていることを思い出して思わず様付け。

「ぎゅうにゅう・・・」

頭を掻き、冷蔵庫の中身を思い出す。
臨也は牛乳嫌いだ、波江も飲まない。

「あー・・ないかも。ウーロン茶でいい?」

静雄の背を支えながら起き上がり、巻きついたままの腕を軽く叩いた。

「てめー・・牛乳飲まねぇからチビにゃんらろ・・・」
「にゃんって・・・」

臨也から腕を外してぼふっ、とベッドに顔をうずめた。
温もりななくなったことにほんの少しの喪失感を覚えたが、頭を振って気のせいだと思うことにする。
静雄が離れてさびしいなんてまるでこの筋肉オバケが好きみたいじゃないか。
いやいや、その発想もおかしいぞ、どうやら混乱しているようだ。

「大体牛乳と身長に科学的な関連性はないからね。骨丈夫になるだけだから。というか俺はチビじゃないからね、一般男性の平均を上回ってるからね、ここ重要」
「ぺらぺらうるせーぞ。俺たちの中で一番チビだろうが」
「あのね。俺が小さいんじゃないの、君らが無意味にでかいんだよ」

近くに置いてあった某ニャ○コ先生の抱き枕を引き寄せて抱きついた。
ふにふにのそれに頭を摺り寄せる様子は2○歳とはとても思えない。

「おいこらノミ、牛乳ねぇならウーロン茶で我慢してやる。持って来い」
「どんだけジャイアンなわけ・・・」

ため息をついてベッドから降りる。
目の前にあるガラスに写った自分の顔が真っ赤になっているのには気付かないフリをした。
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