デュラララ!!

□夢だろ?
1ページ/2ページ

「あははは、笑っちゃうねホント」

ドクドクと流れる血を感じながら、目の前の男を睨んだ。
どうやらまた撃たれたらしく、今度は肩、わき腹、足の三箇所だ。
頭とかの致命傷箇所じゃない分、どうやら俺は相当運がいいらしい。
そろそろ新羅のところに行くかと思っていた矢先の遭遇。
イラつきで血圧が上がりそうだ。

「こーんなに血だらけになって穴が三つも開いてるのに痛くないのかなぁ?シーズちゃん」
「るせぇな、今はてめぇと追いかけっこするほどの元気はねぇんだよ」
「減らず口を叩く元気があれば十分でしょ」

痛くないわけがねぇ、どこ見てんだこいつは。
血がいっぱい出てるだろうが。

「それにしてもバカだよねぇシズちゃん」

目の前にしゃがみこんだ臨也は、病的なくらい白い指で俺の顎をなぞる。
殴ってやりたい距離だが、あいにく今は拳を振りかざすほどの元気がない。
さすがに三箇所も穴開いてんだ、歩くのがやっとだ。

「普通は歩けもしないよ、ホント反吐が出るくらいに化け物だね」

俺の考えを読むな。
気持ち悪ぃやろうだな本当に。

「読めないよ、そんな感じのことを考えてる気がしただけ」

エスパーかこいつ。

「まさか、君と一緒にしないで。俺は普通の人間であって化け物じゃないよ」

くすくすとおかしそうに笑う臨也は相変わらずうざい。
だが、懐から取り出したものを見て、なんとかなるだろうと思っていた俺の希望が粉々にされる気がした。
ちくしょう、やっぱりこいつの仕業だったのかよ。

「ちがーうよ、これは俺が個人的に輸入した分であって、シズちゃんを撃ったのはアマチュアさん」

俺は関与してないよ。
何をしても信じられねぇやつだなこいつは。
黒光りする鉄の塊が、俺の無事な方の脚にこつこつと当たる。
おいおい、そっちの足がねぇとさすがに立てねぇじゃねぇか。

「ほーんとムカつくよね」

銃口がぐりぐりと太ももに押し付けられる。
やべぇ逃げねぇとと思ったときにはもう遅く、辺りに銃声が響き渡った。

「君を傷付けていいのは俺だけなのにさぁ」
「・・・てめぇ」
「しっかし叫び声くらいあげてよ。分かってるの?今俺は君の脚を打ち抜いたんだよ?」

分かってるっつーの。
鈍痛のせいで足が全然動かねぇ。
至近距離で撃たれたせいで火傷もしてるみたいだ。

「君の事を知っていいのも傷付けていいのも、この世で俺だけなんだよ」

傷ひとつ、汚れひとつない臨也が、血まみれの俺の隣に座る。
よくよく考えたら、八年近く喧嘩相手だったこいつとこんなに長く喋ったのは初めてじゃないだろうか。
しかもなんか気持ち悪いこと言ってやがる。

「あーあ!ホントにムカつくよ!君を傷付けたやつを洗い出して、明日にでも東京湾に沈めないとね」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ