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□身体が熱い
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俺は後悔していた。
今日の体育はサッカー。
ドリブルの練習をしていた獄寺君に見とれていたら、急に飛んできたパスを顔面キャッチ。
すぐに駆け寄って来てくれた獄寺君に連れられて保険室に足を運んだ。
予想通りシャマルはいなかったし、ベッドはがら空き。
獄寺君が急いで治療してくれたから特に大事には至ってないけど、頭がくらくらするからベッドに横になることにした。

「俺ほんと、ダメツナだな・・・」
「そんなことはありません!どんなときでも十代目はかっこいいっすよ!」

ベッドに横たわる俺の隣で、拳を握り締めている。
獄寺君はいつもこうやって俺を持ち上げてくれる。
かなりフィルターが入ってるんだろうなとは思うけど、好きな人にそう言ってもらえるとすぐに舞い上がってしまう。

「十代目、放課後になったら起こしますから、少し眠ったほうが・・・」

そう言って身を乗り出してきた獄寺君の腕を引いて、触れるだけのキスをした。
予想通り真っ赤になって慌てふためく獄寺君を、同じベッドの中に引きずり込む。

「あ、あのっ十代目!?」

ぎゅーっと背中に手を回して抱きつき、甘えるみたいにして獄寺君の胸に擦り寄る。
火薬とタバコと、少し甘い匂いがする。
体温が上昇しっぱなしの獄寺君は、少ししたら俺の背中に手を回して、もう片方の手で頭を撫でてくれた。

「あったかい」

獄寺君が少し笑ったような気配がした。
しばらくそのまま時間が過ぎて行き、俺もだんだん眠くなり始めた頃。
頬に何かが刺さったような、ちくりとした痛みが走った。
何かと思って手を当てるが、そこには何もない。

「十代目?どうかしましたか?」
「・・・ううん、なんでもないよ」

そのときは特になにも思わなかった。
気のせいだとばかり思ってたんだ。
異変は、獄寺君に起こしてもらって家に帰る途中だった。

「十代目?」

隣を歩く獄寺君が俺の異変に気付いた。

「顔が赤いっすよ?大丈夫ですか?」

異常に身体が熱い。
この真冬の季節に汗が止まらない。
息も荒くなってきて、それよりも何よりも信じられないのが。
なぜか完全に反応しきっている股間のモノ。

「な、なんか・・・熱い・・・」
「十代目!?」

急に地面にしゃがみこんだ俺を、獄寺君は必死な形相で支える。
ここからだと獄寺君の家の方が近いため、俺は獄寺君の家に寄ることにした。

「大丈夫ですか十代目・・・」

肩を貸してもらって部屋にあがらせてもらう。
そのままベッドのある寝室まで運んでもらう。
獄寺君はずっと心配そうな顔で俺のことを覗き込んでくる。
熱くて思考がうまく出来ない。
目の前にある獄寺君の顔を見ると、熱が更に上昇するような気にさえなった。

「・・ご、めん・・・俺、なんか・・・」

このままだと余計なことまでしてしまいそうな気がして、俺は獄寺君の肩を押す。
これ以上一緒にいると危ない気がする。
だが、獄寺君は離れようとはしなかった。

「十代目・・・もっと、俺を頼ってください。俺、十代目のためならなんでもします」
「ごく、でらく・・・」

俺の手をぎゅ、と握って、祈るように語り掛けてくる。
手の異常な熱さに不安になったのか、握る強さを強めてきた。
こんなに心配させてるのに、俺の中にはこの熱をどうにか発散したいという欲望が渦巻く。
どうやら俺は発情しているらしかった。
原因は何かは分からないけど、こんな状態じゃいつ獄寺君を襲うか分からない。
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