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□死ぬ気でご奉仕!
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「お久しぶりです、十年前の十代目」

今俺の目の前には二人の獄寺君がいる。
そしてお互いに正座して挨拶するという奇妙な状態になっている。
なぜこんなことになったのかと言えば、それはボヴィーノファミリーのランボのせいだと言える。
そのとき俺は、中学生の獄寺君と一緒に学期末試験のためにテスト勉強をしていた。

「がはははっ、ランボさんが来てやったじょー!遊べツナ!」

勢いよくドアを開いたのは五歳のモジャモジャ頭。
手にはペロペロキャンディーを持っていて、後ろからはイーピンが着いてきている。
勉強中だからダメだといえば大声で泣き出した。
隣に座っている獄寺君がイライラしてきているのが分かる。

「アホ牛、いい加減にしねーと果たすぞ!」

立ち上がり、ダイナマイトを取り出す獄寺君。
気持ちは分からないでもないけどそれはだめだよ。
俺は獄寺君の腰に抱きついてとめたが、時すでに遅し、アホ牛は獄寺君に蹴飛ばされて部屋の向こう側へ。
ぐぴゃ、と変なうめき声を上げて床に突っ伏すランボ。
あとはいつもと同じ、最近はなかったけど。
頭をごそごそとして取り出したのは十年バズーカ。

「ちねぇぇぇアホでらーーーー!!」

あとはお久しぶりねの大人ランボ・・・かと思えば、今日はいつもと違った。
自分へ向けたバズーカを無理矢理方向転換させようとして、床に勢いよく落とす。
そしてランボは獄寺君に向かってバズーカを放った。
弾は獄寺君を目指して一直線に走り、逃げる間もなく煙に包まれた。

「え、ご、獄寺君!?」
「おれっち知らないもんね!獄寺が悪いんだもんね!」

そう言ってランボは部屋から早々に逃げていく。
イーピンはランボに謝るように叫びながら追いかけていった。
とはいえ俺はそんなことよりも、十年後の獄寺君のほうが気になる。
前に十年後に行った時は、ほとんど接点を持てなかったから。
煙に巻かれた獄寺君の影が大きくなり、視界がクリアになる。

「・・・ぇ・・」

そこには十年後の獄寺君がいた。
しかし、今の獄寺君もいる。
二人はお互いに顔を見合わせて床にへたり込んでいる。

「な・・お、俺・・・?」

同じような顔が二つ並んで、二人とも顔が青い。
十年バズーカの効果なのは分かるけど、今までこんなことになったことがない。

「ど、どうなってんの!?」

俺が頭を抱えて叫ぶと、二人の獄寺君は十代目と叫んで同じように心配してくれた。
本当にどっちも獄寺君なんだな。
両側に十四歳の獄寺君と二十四歳の獄寺君。
異常な事態にこんなこと考えちゃ不謹慎だけど、両手に花だ!
大丈夫ですかと顔を除きこんでくる二人に自分でも分かるくらい口元が緩んだ。

「デレデレしてんじゃねーダメツナが」

後頭部を思いっきり蹴られて、俺は無様にも二人の獄寺君に飛び込んだ。
同時に受け止めてもらって、じんじんと痛む頭を抑えながら後ろを見ると、そこには予想通りリボーンがいた。
短い腕を組んだまま深刻そうな顔をしている。

「考えられるのは十年バズーカの故障だが、このままじゃやべーぞ」

俺のベッドの上からぴょんと降りて、俺たちに近づく。
やばいというのはなにがやばいのか?
何がだよ、と口にしようとした途端、両側の獄寺君が同時に倒れた。

「獄寺君!?」
「やっぱりな」

二人とも倒れたままピクリとも動かない。

「前に入江が言ってた事を覚えてるか」

入江というのは十年後の正一君のことだろうか。
この時代の正一君とは接点がないはずだ。
正一君が言っていたこと?
俺はない脳みそをフル回転させて考えるが、なにも思い出せない。

「だからテメーはダメツナなんだ」
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