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□ツンデレとは
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議題

最近よく言うツンデレってあるじゃない?
獄寺君ってまさしくその鏡みたいっていうか、絵に描いたようなツンデレっ子だよね。

報告書

山本武

そうだなぁ、確かに、いっつも俺にはきっついことばっかり言うけど、たま〜にやさしいこと言ってくるんだよなぁ。
ほら、十年くらい前にミルフィオーレに潜入したとき?
あれ?でもあれ十年前に十年後に来てたから今ってことになるのか?
んー。
あ、まぁそんときにさ、入江が基地内改造させたとき。
はぐれそうになったとき、あいつ笹川先輩の手を振り払って助けようとしてくれたのな。
ああいうのってデレって言うんじゃね?

ランボ

昔っから俺に対してはホントに酷かったですよ、ええ。
記憶にあるのは獄寺氏に吹き飛ばされた記憶くらいしかないです。
十年バズーカで過去に行っても基本的には獄寺氏に痛い目にあわされるんです。
でもね、うっすら覚えてるのでは、なんか俺がほとんど動けない状態なんです。
意識を失ってるんですけど、左腕がなんかすごく熱くて。
そっから苦しいのが広がっていくんですよ。
でも、なんか獄寺氏の声がうっすら聞こえたと思ったら、その苦しいのが消えた記憶があります。
大丈夫か?って声が。

結論

十年前は基本誰にでもツンツンでごく稀にデレてた。
俺に対してはいつもデレデレ。
でも最近の獄寺君は俺に対してもツンツンっていうか。
いや、むしろどっちかと言えば人前ではツンツン、二人きりになるとデレデレというか。
安達漫画?あの二人実は付き合ってるのみたいな。
やべぇ萌えてきた。
萌えてきたので今夜はデレ獄寺君にいろんなコスプレを強要していろんなプレイに走りたいと思います。

10月31日




「十代目」
「え、なに」

目当ての方は予想通り執務室におられた。
日本産のゲーム機、PSPを両手に掲げて、黒いソファに寝そべっている。
何かの破壊音や、異性物の鳴き声が聞こえてくるところからゲーム中だったようだ。

「や、どしたの?」
「今朝お渡しした書類に目は通してくださったんですか」

半分くらい。
そう答えて指を動かす親愛なるボンゴレ十代目はどうやらまた執務放棄らしい。
とりあえず俺は無表情で近くまで歩み寄り、ゲームのリセットボタンを押した。
十代目の悲鳴が轟く。

「俺の三時間半があああああ」
「仕事をしてください」

モンスターハンター、略してモンハンと呼ばれているらしいその日本製ゲームは十代目の仕事の妨げになるようだ。
即刻、十代目がこれを取り寄せたルートをつぶさなくては。
あと、このゲーム自体も没収。
もう少しでキリンを倒せたのにとかよくわからないことをつぶやく十代目に、ランボから奪ってきた書類を掲げた。

「あれ、それどこで拾ってきたの」

けろりとした顔で言う十代目に罪悪感はもうとうないようだ。
この書類の日付はずいぶん前のことだし、この日は自分も十代目の職場放棄の後始末に走っていたため、まさか守護者を集めてこんなくだらない談義をしていたとは夢にも思っていなかった。
どうりでこの日の夜はハロウィンに託けて魔女やらサキュバスやらメイドやら日本の極一部の濃いやつらの好きそうなコスプレばかりさせようとしてくると思った。
もちろん全部丁重にお断りして後日焼却炉で処分した。

「俺が見てない間に守護者全員集めてこんなことやってるとは思ってませんでしたよ」
「全員じゃないよ、骸とかは来てくれなかったし」

しかし参加者欄に書かれているのは山本、了平、ランボ、雲雀、十代目とほとんどのメンバーがそろっている。
俺の議題で俺自身が呼ばれるはずもなく。
ボンゴレの重鎮勢ぞろいである。
さぞ何事かと囁かれたことだろう。

「暇だったからさぁ、みんなで獄寺君のツンデレについて考えてみようかなーって」
「・・・」
「骸も来なかったからどうしようかと思ったけど、骸はどっちかっていうとヤンデレかなって」
「・・・」
「他にツンデレって言ったら雲雀さんだけど、そんなこと口に出したら咬み殺されちゃうもんねぇ」
「・・・一ついいですか」
「なぁに」

その日、俺は十代目がサボっていた分の仕事の埋め合わせに走り回っていた。
リボーンさんもまた然り。
12歳になった最強の殺し屋は目に殺意を抱きながらツナ殺すと語っていた。
そんなときに守護者は何度連絡をまわしても誰も来なかった。
それはそうだろう、守護者は会議室で会議していたんだから。

「暇、だったと?あれほど俺やリボーンさんが必死に働いていたときに、暇だったと?」
「あれ、ちょっと待って獄寺君。それは言葉のあやというかなんと言うかほら・・・」

怒りと急に襲ってきた倦怠感に握った拳がぶるぶると震えている。
持ってきた書類はぐしゃぐしゃにつぶれている。

「あれほど俺は今日は疲れているので寝かせてくださいと言ったのにあなたはこんなくだらないことで決意したことを実行しようと・・・?」
「あ、ちょっとまってどこにかけるのそれ」

ポケットから携帯を取り出してかける場所は何年経ってもこの人の弱点である場所のうちの一つ。
元気のいい声は相変わらずで、平然と笑顔を浮かべて話をつけると元気のいい返事が返ってくる。
次にかける場所はもちろんこのお方の一番の弱点であり恐怖の象徴。

「リボーンさんですか?はい、獄寺です。ご無沙汰しています。ええ、実はですね、十代目が仕事を・・・はい、おっしゃる通りです」
「ちょ、ま、ごくでらく・・・」
「十代目」

な、なにかな。
最近は滅多にお目にかかれなくなった十代目のうろたえる姿にも俺は動揺しなくなった。
俺も成長したものだ。

「十代目がどうも最近たるんでるようなので九代目の門外顧問とあなたの門外顧問が二人してあなたを鍛えなおしてくださるそうです」
「お、鬼!」

おにぃ〜〜〜〜!

十代目の叫び声は周囲の部下を呼び寄せることとなったが、門外顧問が来たことにによりそれは解散され、俺は来週から仕事が楽になることを考えて鼻唄でも歌いたい気分だった。
 

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