「その日が来るまで」
□「9月13日」
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昨日、火影室から顔面蒼白で出てきた名無しさんを見付けて、何があったかはだいたい想像がついた。
オレは綱手様を問い詰めて、長期任務の話を聞き出して。
頭の中が真っ白になった。
反射的に、取り止めてくださいと懇願していた。
だが、そんな馬鹿げた願いが聞き入れられるはずもなく。
終いには上忍のくせに、と言われそうになって。
さすがにそれを綱手様に言わせるワケにもいかず、自分の立場を思い出して、火影室を出た。
確かに、上忍のくせに私情を挟むなんて、どうかしてる。
ただ、名無しさんと離れるなんて考えられなかった。
綱手様を問い詰めたり、取り消してくれなんて懇願したことは名無しさんには言わずに、慰霊碑の前で泣き続ける名無しさんを何とか宥めて、家まで送り届けて。
準備を手伝おうか、と申し出たけれど、いいと断られた。
砂に旅立つのを急かすように感じたかと思って、かける言葉も見付からずに自宅に戻るしかなかった。
まさか、こんなことになるなんて思ってもいなかった。
オレが告白したことで、余計に名無しさんを苦しめることになってしまって。
ベッドに座って頭を抱えて。
でも、いくら考えても答えは出ない。
ごめん、なんて免罪符でおめでとうなんて言って。
それで、よかったのか?
なんか、自己満足だよな。
どんな顔して、名無しさんを見送ればいいんだろう。
次から次へと追い詰められるように頭の中がに何かが溢れてきて、結局一睡も出来なかった。